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早大前の喫茶店「ぷらんたん」がリニューアル 伝統守りながら換気・断熱強化

「大隈塾」OB・田中渉悟さん、有志メンバー・鈴木菜緒さん、吉留寛人さん、「マスター」こと店主の前田広喜さん、妻の美智子さん(左から、撮影のためマスクを外している)

「大隈塾」OB・田中渉悟さん、有志メンバー・鈴木菜緒さん、吉留寛人さん、「マスター」こと店主の前田広喜さん、妻の美智子さん(左から、撮影のためマスクを外している)

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 早大南門通りにある喫茶店「ぷらんたん」(新宿区戸塚町1、TEL 03-3202-8333)が5月11日、リニューアルオープンした。

早大近くの喫茶店の「ぷらんたん」の自家焙煎豆を使用するブレンドコーヒー

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 1950(昭和25)年のオープン以来、昔ながらの喫茶店として伝統を守り続ける同店。現在は、早稲田大学OBで4代目店主の前田広喜さんと妻の美智子さんが切り盛りしている。「ぷらんたん」は、フランス語で春の意。「春のように温かみのある店でありたい」という思いも込める。授業の打ち上げなどで利用されることもあり、思い出の場所に挙げる卒業生も多い。

 創業70年を迎えた昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい経営状況が続いた。早大の講義「たくましい知性を鍛える(通称=大隈塾)」受講生の提案で今年の1月末から実施したクラウドファンディングでは、目標金額の150%に当たる750万円を超える支援を1081人から受けた。新型コロナによる損失を穴埋めできるほどの支援が集まれば今後の存続に向けての改修費などに充てるとしていたことから、今回のリニューアルが実現した。

 クラウドファンディングから引き続き、前田さんと共に今回のリニューアルに携わったのは、早稲田大学の大隈塾に所属する学生メンバーと「ぷらんたん」にゆかりのある卒業生。互いに思いを擦り合わせ、「ぷらんたん」の伝統を残すことを第一に考えながら、どのようにリニューアルするかを検討してきた。

 工事は2回に分けて実施。3月末の工事では、4月から早稲田大学が対面授業を再開することを受け、多くの学生が早稲田エリアに戻り来客数が増加することを念頭に置き、新型コロナ対策として、1階には換気機能のあるエアコンを、2階=換気扇の増設を、それぞれ行った。

 5月1日~10日の工事では、2階部分のリニューアルを実施。6年前に老朽化などから天井材を撤去して山小屋のような雰囲気となったものの暑さや寒さを防ぐ手だてがなくなっていたことから、断熱材を入れ新たに天板を敷くことで、雰囲気はそのままで快適に過ごせる環境にした。

 工事では、2階の窓の外にあった花台を撤去することで開口角度を大きくしたり、天井にシーリングファンを設置したりすることで、喫煙席の2階の煙が滞留しないようにする配慮も。椅子を全て新調し、各テーブルにはコンセントを設けることで、パソコン作業が増えている客のニーズにも対応した。「椅子の白と黒はオセロをイメージしている」(前田さん)という。

 前田さんは「リニューアルオープン後『椅子が座りやすくなった』などと、過ごしやすさで好評を得ている。クラウドファンディングや今年に入り新たに始めたSNSでの投稿を通じて店の認知度が上がっているのか、女性客が増加するなど、客層にも変化が見られている」と手応えを見せる。

 クラウドファンディングや今回のリニューアルにも関わる大隈塾OBの田中渉悟さんは「『ぷらんたん』は私にとって『早稲田の実家』といえる場所。大好きな店のクラウドファンディングを立ち上げてくれた学生の皆さんを誇りに思っている。私以外のOB・OGからも、彼らへの尊敬と感謝の気持ちを聞いている」と大隈塾の現役早大生にエールを送る。

 今後は、クラウドファンディングのリターン品の製作・発送、1階のリニューアル、街灯の再設置などに向けての準備を進める。

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