
染めの工程の一つ「水元(みずもと)」を再現する「第12回 神田川 水べの染め体験」が7月19日、新宿区立戸塚地域センターと隣接する神田川親水テラス(以上、新宿区高田馬場2)で開催された。
6年ぶりに「水元再現」に取り組む吉住健一新宿区長(左)=神田川親水テラスで「水べの染め体験」
戸塚地区青少年育成委員会と新宿区染色協議会が、新宿の地場産業「染色」に親しんでもらおうと開催する夏の恒例イベント。染色業は新宿区の地場産業で、現在も大小100軒近い染色業の企業や工房が高田馬場・落合・中井などの神田川や妙正寺川沿いに点在するという。
当日は神田川親水テラスで、染色時に付いたのりや余分な染料を洗い流す工程を再現する「水元再現」を12時45分から行った。親水テラスの上から着物を投げ入れ、洗い流す実演の間、新宿区染色協議会相談役の富田篤さんが新宿の染色の歴史や工程について説明。「着物を着たければ、新宿へ。そんな街にしたいと思っている」と話した。来場していた吉住健一新宿区長も6年ぶりに、地元の職人と一緒に神田川に入り水元再現に参加した。
戸塚地域センターでは「絞り染め」「型染め」「友禅染」の染色体験を行い、300人以上が参加。親子連れが職人から手ほどきを受けながら染色を楽しむ姿が見られた。新宿区染色協議会の会員などが手がける小紋や友禅などの染め物の展示を行ったほか、近隣小中学校のPTAや生徒が飲食を販売。やなせたかしさんが手がけた新宿区の防犯マスコットキャラクター「新宿シンちゃん」の焼き印入りあんぱんは、用意した150個が午前中に完売した。
吉住区長は「新宿区は着物の街。区の実施する式典『はたちのつどい』では、新宿区染色協議会の皆さんに作っていただいた着物を無料で貸し出している。今日参加されている小さなお子さんも大きくなったら、ぜひ新宿の着物を着ていただければ」と呼びかけた。
戸塚地区青少年育成委員会会長の太田幸一さんは「区内はもちろん、区外の多くの地域からも参加があったようで、大変ありがたい」と話す。
初めて参加したという5歳の女の子の母親は「子どもが小さいので、本当にできるかなと思っていたが、型染めの職人さんに教えてもらいながら、とても楽しんでいて、見ているこちらもうれしくなった」と笑顔を見せた。