
高田馬場駅前の「芳林堂書店高田馬場店」(新宿区高田馬場1、以下芳林堂書店)が現在、「かってに芥川賞・直木賞」を展開している。
静岡県在住30代高校教師の芥川さんが選んだ一冊=芳林堂書店で「かってに芥川賞・直木賞」
今年の芥川賞・直木賞が、27年ぶりに該当作なしとなったことから始まった本企画。芳林堂書店高田馬場店店長の山本善之さんは「芥川賞・直木賞は、受賞した本が売れるのはもちろん、受賞者のそれまでの作品や芥川賞が全文掲載される文芸春秋もかなり売れるのが毎年の恒例。該当作なしになったのはしょうがないと思うが、ちょっと悲しいところもある」と話す。
「かってに芥川賞・直木賞」広報事務局を務める丸山優河さんは「受賞作がなかったことで、売り上げが立たなくて大変という書店さんのSNSの投稿が反響を得ていた。本好きな友人たちと何かできることはないかと話し合いを始めたことがきっかけになった」と話す。全国の芥川さん、直木さんにお気に入りの本を選んでもらい、選評をまとめたPOPを作成する企画を進めながら、つながりのある書店に声をかけていった。
「名字由来net」によると、全国に芥川姓は約5000人(2721位)、直木姓は約530人(1万1995位)と、どちらも多くはない名字。丸山さんたちは、フェイスブックで名字を検索し、次々と連絡を取って協力を募った。賛同した芥川さんの中には、家族を紹介してくれた人もいたという。現在、7人の芥川さんのPOPを展開しており、直木さんのPOPも準備している。
山本さんは「作家や評論家の方、書店員が選書するという企画はあるが、名字くくりで一般の読者に選んでもらうアイデアは斬新で、これまでにない取り組み。普段、書店に常備していない本もあったので、この企画に合わせて仕入れたものもある」と話す。
丸山さんは「選定された本の出版社や著者の方からもSNS上で反響を頂いている。芥川賞・直木賞をリスペクトしているので、展開の期限は次の芥川賞・直木賞が発表される頃までかなと思っている。まだまだ全国の芥川さん、直木さんから書評を集めたいと思っているので、連絡いただければ」と呼びかける。
営業時間は10時~21時(日曜・祝日は20時まで)。同企画は現在、双子のライオン堂(港区)、銀座堂書店(渋谷区)、久美堂(町田市)、黒田書店(日野市)でも展開している。