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区立戸山図書館で視覚障害者への情報提供 3D模型を片手に戸山公園散策

散策の様子

散策の様子

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 都立戸山図書館(新宿区戸山2)が10月18日、視覚障害者への情報提供として「触れて訪ねる戸山荘 ~3D地図を片手に歴史散策」を開いた。

元木章博教授(左)から戸山公園の波多江剛センター長へ 戸山公園の3D模型が贈られる 

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 視覚障害者などへのサービスの新宿区の拠点館として、録音図書の作成や貸し出し、対面朗読サービスをはじめ、点字本や大活字本の収集などを行う同館。3D模型を使った体験イベントは3回目。視覚障害者を含む13人が参加した。

 講師は、年齢や障害の有無に関係なく、誰でも必要とする情報に簡単にアクセスするための情報保障を専門とする鶴見大学の元木章博教授。参加者は、元木さんから視覚障害者の観光や3D模型について説明を受けた後、隣接する戸山公園箱根山地区を散策した。

 同地区は、戸山荘と呼ばれた尾張徳川家の下屋敷の跡地で、1873(明治6)年からは陸軍用地として戸山学校等が置かれ、その一部が1954(昭和29)年に都立公園として開園した。散策は、同園の波多江剛センター長らが案内役を務め、戸山荘時代の余慶堂跡、称徳場跡、古駅楼跡や陸軍軍楽隊演習場跡地などで立ち止まりながら土地の由来を伝えた。鶴見大学の学生と音訳ボランティアグループ「新宿区声の図書館研究会」のメンバーが付き添い、参加者一人一人が両手に収まる大きさの園内の3D模型に触れて方角や地形を確認しながら歩き、公園内に漂う秋の気配なども楽しんだ。

 参加者の土居由知さんは「以前、近隣に住んでいたが、公園内は地形が複雑で1人では入って行きにくく、ほとんど立ち入ることがなかった。近くて遠かった公園についてもっと知りたいと思って参加した。今日は庭園だった頃の話などと併せて、現在の公道なども確認でき理解が深まった。3D模型を持って歩くと方向も高低差も分かりやすく、とても面白かった。少しは迷ってもいいので1人で歩いて楽しむことができるようになれば」と話す。

 元木さんは「戸山図書館での活動は、公共図書館での障害者サービスのフラグシップとして好事例となっている。現在、公共図書館に3Dプリンターが入り始めているので、各地で3D模型を使った活動が広がれば」と期待を込める。

 イベント終了後、元木さんから波多江センター長に箱根山地区の3D模型が贈られた。

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