区立鶴巻図書館(新宿区早稲田鶴巻町、TEL 03-3208-2431)が11月21日、「つるまき本の帯デザイン賞」の受賞作を発表し、作品展示を始めた。
2020年に中高生を対象に始めた企画。今回の応募作品は195点で、同館職員による1次審査で佳作30点を選出。青木城館長、早稲田鶴巻町に拠点を置く出版社あすなろ書房社長の山浦真一さん、西早稲田古書店街にある古書現世店主の向井透史さんによる最終審査で、最優秀賞、優秀賞、入選作品を決定した。
最優秀賞に森谷仁香さん(対象作品=古前亮さん著、小峰書店刊「星の旅人」)、優秀賞に篠原瑞季さん(対象作品=凪良ゆうさん著、講談社刊「汝、星のごとく」)、小林うららさん(対象作品=上野そらさん著・くまくら珠美さん絵、アルファポリス刊「わたしのげぼく」)が選ばれた。
山浦さんは「最優秀賞の森谷さんの作品は、デザイン、キャッチコピー共に実に丁寧で工夫されていた。毎年のことだが、本文からの引用文をキャッチコピーに使った作品が多く、オリジナリティーのある独創的な宣伝文が見当たらないのが残念。帯のキャッチコピーは、多くの人にアピールするものよりも特定の誰かに向けた方が面白く、訴求力のあるコピーになるように思う」と講評する。
向井さんは「たくさんの作品が一堂に並ぶと、より丁寧さを感じる作品に目がいく。上位作品には外からは見えない折り返し部分にも気を配る丁寧さがあった。優秀賞の篠原さんの作品は圧倒的なイラストで内容を感じさせ元の表紙とのバランスも素晴らしい。小林さんの作品は外から見えない部分のデザインが凝っているという点を好ましく感じた」と講評する。
青木館長は「書店を訪れた時に、本の帯に引かれて本を手にすることがある。その意味では、当館の本の帯デザイン賞は、まさに『本を手に取っていただくグランプリ』と言える。受賞作は、いずれも思わず手に取りたくなる、という要素が強い作品。今回、惜しくも受賞を逃した中にも素晴らしい作品が多く、レベルの高さを感じた。来年は応募数を200点の大台に乗せたい」と意気込む。
同館1階に、受賞作品を図書館所蔵の本に巻いて展示するほか、評価の高かった入選作品を展示する。同館が発行する図書館だよりに選考結果等を掲載する予定。
開館時間は9時~19時(土曜・日曜、祝日は18時まで)。火曜休館。展示は12月28日まで。