早稲田大学演劇博物館(新宿区西早稲田1)が現在、近年新たに収集した収蔵品などを展示する「新収蔵品展」を開いている。
新収蔵品は、同館1階の六世中村歌右衛門記念特別展示室で展示する。展示品はシテ方金春流能楽師 櫻間道雄が能の「砧(きぬた)」の後シテを描いた日本画、文楽の人形遣い 初代吉田玉男による自筆軸、五代目鳥居清忠直筆の歌舞伎衣装、日本画家赤松雲嶺 旧蔵の「押隈(おしぐま)」、歌舞伎役者 五代目中村富十郎家よりの寄贈品の中から「五代目中村富十郎襲名披露絵看板屏風(びょうぶ)、2019年に亡くなった和田誠さんの遺族から寄贈された旧蔵資料、戦後を代表する劇作家 宮本研自筆の原稿やノート類、パリの劇場プログラムや朝鮮映画関連図書など。
五代目鳥居清忠直筆の衣装は「塩瀬地孔雀(くじゃく)に牡丹(ぼたん)図裲襠(うちかけ)」。1958(昭和33)年5月の前進座読売ホール公演「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)で五代目河原崎国太郎が演じる傾城(けいせい)揚巻のために書き下ろされ舞台で着用された。
赤松雲嶺旧蔵の「押隈」は、30年にわたり収集された500点に上るコレクションの全てが同館に寄贈された。本展では、十五代目市村羽左衛門、二代目市川左団次、七代目松本幸四郎、六代目尾上菊五郎、五代目中村歌右衛門、二代目市川猿之助の「押隈」6点を展示するほか、スライドショーで紹介する。
和田誠旧蔵資料は、デザイナー、イラストレーター、映画監督など多岐にわたり活躍した和田さんが手がけた演劇や映画のポスターのほか、生前にコレクションされたレコード、DVDなどの寄贈品の一部を展示する。
同館、学芸員の岩淵知恵さんは「新収蔵品の多くは当館に縁のある方々からの寄贈品。多岐にわたる分野の貴重な品の中から、できるだけ偏りがないよう展示品を選んだ。どの展示品も『推し』の逸品。足を運んでいただき観賞してほしい」と呼びかける。
開館時間は10時~17時(火曜・金曜は19時まで)。入館無料。4月23日まで。