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下落合のアダチ版画が「浮世絵の富士山」展 富士山世界文化遺産登録10周年で

アダチ伝統木版画技術保存財団の渡邉葵さん

アダチ伝統木版画技術保存財団の渡邉葵さん

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 アダチ伝統木版画技術保存財団(新宿区新宿区下落合3、TEL 03-3951-1267)が現在、富士山の世界文化遺産登録10周年を記念した企画展「現代の匠の技で辿(たど)る浮世絵の富士山」を開いている。

「現代の匠の技で辿る浮世絵の富士山」展示1

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 同財団は、江戸時代の浮世絵の制作技術を持つ版元、アダチ版画研究所が1994年(平成6)年、「伝統木版画の制作技術に関する研究などの奨励と保存」「技術者の擁護育成」「普及」「日本の美術文化の発展」を目的として設立した。

 同展を担当する渡邉葵さんは「富士山は芸術や信仰との深い関わりが評価され自然遺産ではなく文化遺産として登録された。登録時のユネスコ(国連教育科学文化機関)公式コメントは、特に葛飾北斎『冨嶽三十六景』が、富士山を日本のシンボルとして世界へ知らしめ、さらには19世紀の西洋絵画の発展に多大な影響を与えたと明言している。登録10周年を機に、大きな役割を果たした浮世絵の魅力を知ってもらいたい」と話す。

 展示は「パート1 富士山を世界中に知らしめた“浮世絵の富士山”」「パート2 “浮世絵の富士山”の魅力を生み出した匠(たくみ)の技」「パート3 『芸術の源泉』であり続ける富士山」で構成する。

 パート1では、江戸時代の富士山信仰の流行に寄与し、また富士山を世界中に広めた葛飾北斎、安藤広重が描く「浮世絵の富士山」などを復刻版浮世絵で紹介する。パート2では、「冨嶽三十六景」を題材に浮世絵の制作工程を紹介する。パート3では、富士山世界遺産登録の翌年に制作した草間彌生さんとのコラボレーション作品「七色の富士」全7作品の全てを週替わりで展示するほか、同財団が制作監修した富士山を題材とした国内外のアーティストの木版画を展示する。

 渡邉さんは「江戸時代の人々が楽しんだものと同じ刷りたての鮮やかな復刻版の浮世絵を見てほしい。そこから今につながる伝統木版画技術の魅力の知ってもらえたら」と思いを込める。

 刷りの実演や体験、ギャラリートークなどのイベントも予定する。

 開館時間は10時~18時(土曜は17時まで)。日曜・月曜・祝休館日(8月11日は営業)。入場無料。8月12日まで。

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