山村教室の受講からデビューした女性小説家による「ケルンの会」が10月1日、「芳林堂書店高田馬場店」(新宿区高田馬場1)でトーク&サイン会を開いた。
作家の山村正夫が主宰した「小説家入門 山村教室」は、篠田節子さん、室井佑月さんなど多くの作家を輩出。1999(平成11)年、山村の逝去後「山村正夫記念小説講座」として継続し、今年7月に亡くなるまで森村誠一さんが名誉顧問を務めた。
同会は同教室を受講中に塾生として知り合った坂井希久子さん、成田名璃子さん、美輪和音さん、西尾潤さん、千葉ともこさん、新川帆立さんの6人が作家デビュー後、2020年12月に結成したユニット。
坂井さんは「受講中から食事や旅行に行くなど仲良くしていた6人全員が作家デビューしたタイミングで、メンバーの一人でヘアメーク・スタイリストとして活躍する西尾潤さんの提案で記念のスチール写真を撮った。出来上がった後で使いどころのなかったこの写真を生かすために、会をつくろうということになった」と、結成の経緯を話す。
会名は、登山道で道標となる石を積み上げたCairn(石塚)を人生に見立てた「人生はケルンの一石である」という森村さんの座右の銘から命名した。
イベントには、体調不良で欠席した成田さんを除く5人が参加。出版された小説のプロットや創作メモなどをスクリーンで公開。「ざっくり系」「きっちり系」「ストーリー系」「ビジュアル系」などのタイトルでそれぞれが創作法について披露し、初めて見せ合うお互いのプロットについての話に花を咲かせた。書店でのトーク&サイン会は今回が初めてで、会場にはファンや小説家を目指す人など約50人が集まった。
イベントを終えて坂井さんは「作家は群れてはいけないという面もあると思うが、お互いに愚痴が言い合える、分からないことやつらいことをみんなに聞いてもらえる精神的なよりどころとなっている。初めてのトークショーだったが普段通りに話ができた。会場の皆さんにも楽しい雰囲気を楽しんでもらえていればうれしい。ケルンの会として6人を応援してくださる人も徐々に増えている。今後も活動を続けていきたい」と笑顔を見せる。