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早大演劇博物館で、当今のシェイクスピア「黙阿弥」展 没後130年

早稲田大学演劇博物館 赤井紀美 助教(右)、岩淵知恵 学芸員

早稲田大学演劇博物館 赤井紀美 助教(右)、岩淵知恵 学芸員

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 早稲田大学演劇博物館(新宿区西早稲田1)が現在、「没後130年 河竹黙阿弥―江戸から東京へ―」を開いている。

「没後130年 河竹黙阿弥―江戸から東京へ―」展示の様子1

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 河竹黙阿弥は、幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎狂言作者で、「白浪(しらなみ)五人男」で知られる『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』に代表される盗賊を描いた「白波物」、明治以降の演劇改良運動の中で史実に忠実な歴史劇「活歴物」、明治以降の風俗を取り入れた「散切物(ざんぎりもの)」など、時代の変化に合わせた幅広い作品を残している。

 同館の創立者、坪内逍遙は黙阿弥を「江戸演劇の大問屋」「当今のシェイクスピア」と高く評し、交流が深かった。また、逍遥の推薦で黙阿弥の娘の糸女(いとじょ)の養子となった河竹繁俊が2代目館長を務め、その子、河竹登志夫も同大で教授を務めるなど河竹家との縁が深いことから、同館は多くの関連品を収蔵する。

 展示は「第1章 狂言作者以前」「第2章 勝諺蔵(かつげんぞう)・柴晋輔(しばしんすけ)時代から立作者昇進まで」「第3章 大震災と市村座時代の黙阿弥」「第4章 明治維新の波と黙阿弥時代」「第5章 晩年と黙阿弥没後の河竹家」「第6章 没後の受容と上演」「第7章 作品世界の広がり」と、江戸から東京へと移り変わる時代と重ねて黙阿弥の人生をたどり、後世に与えた影響を紹介する章立てとする。

 国立劇場の自主企画映画と舞台映像の上演や、展示室内の床に「黙阿弥江戸芝居地図」として東京の地図を配し、各展示と場所をひも付けることで、黙阿弥を取り巻く時代の変遷を可視化する試みも行う。図録(2,000円)、黙阿弥作品の舞台となる場所や芝居小屋などをプロットした「黙阿弥江戸芝居地図」(300円)も用意する。

 同展を担当する赤井紀美助教は「当館として30年ぶりとなる黙阿弥をテーマとする企画展。施設の再整備のため10月でいったん閉館する国立劇場との共催により、同館と当館とが収蔵する黙阿弥関連資料を展示する充実した内容となっている。貴重な1次資料や映像を楽しんでもらいたい」と呼びかける。

 関連イベントとして、神田伯山さんによる講談を11月16日に大隈記念講堂大講堂で、桂藤兵衛さんによる落語、一龍齋貞橘さんによる講談を2024年1月19日に小野記念講堂で行う。入場無料。要予約。

 開館時間は10時~17時(火曜・金曜は19時まで)。入館無料。2024年1月21日まで。

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