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早大演劇博物館で「文豪×演劇」展 ゲーム「文豪とアルケミスト」とコラボも

早稲田大学演劇博物館前で、東北大学准教授の赤井紀美さん(右から2人目)

早稲田大学演劇博物館前で、東北大学准教授の赤井紀美さん(右から2人目)

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 早稲田大学演劇博物館(新宿区西早稲田1)が現在、2024年特別展「「文豪×演劇―エンパクコレクションにみる近代文学と演劇の世界」を行っている。

「文豪とアルケミスト」とタイアップ、オリジナルクリアファイルとしおり

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 同館創始者の坪内逍遙は、日本で最初の体系的な文学理論「小説神髄」と、その理論を実践する小説「当世書生気質(かたぎ)」を著わした日本の近代文学の祖といえる存在。一方、シェークスピア、近松門左衛門の研究を経て、現在も上演される「桐一葉(きりひとは)」「沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)」などの戯曲の執筆も手がけている。その後、島村抱月らと共に文芸協会を設立し演劇改良運動の先駆けとして力を尽くした。

 文学と演劇の関わりの深さを収蔵資料で紹介する同展。「第1章 坪内逍遙からはじまる近代文学と演劇の世界」「第2章 作家が愛した芸能・演劇」「第3章 演劇化された文学作品」「第4章 作家が手掛けた舞台」「附章 坪内逍遙と文豪達」で構成する。

 展示品は、「小説神髄」「一読三嘆 当世書生気質」の初版本、「桐一葉」の逍遙直筆原稿、「森鴎外直筆・坪内逍遙朱註(しゅちゅう)『マクベス』稿本」「三島由紀夫書き入れ 文学座公演『トスカ』上演台本」、谷崎潤一郎と京マチ子の往復書簡、「花柳章太郎使用『不如帰(ほととぎす)』浪子の打掛」のほか、作家が手掛けた舞台や文学作品を演劇化した作品のポスターなど。

 同館初の試みとして、DMM GAMESのゲーム「文豪とアルケミスト」とのタイアップ企画を用意。同館を背景にゲームに登場する逍遙を描いたオリジナル描き起こしイラストパネルのほか、逍遙、二葉亭四迷、森鴎外のイラストパネル、同館が所有する写真から起こした逍遙の等身大パネルを設置するフォトスポットを設ける。来館記念としてオリジナルしおりを配布するほか、オリジナルクリアファイルの販売を行う。

 企画を担当した東北大学准教授の赤井紀美さんは「日本では、古くからあるコンテンツを別のジャンルや文脈へと移し替える、現在ではアダプテーションといわれる創作手法が使われている。江戸時代にはメディアミックスが恒常的に行われ、近代に入るとジャンルを超えた再創造がさらに盛り上がりを見せる。過去と現在の想像力が響き合うことで新たな作品が創造され、それを多くの人々が受容してきた」と説明する。

 「『文豪とアルケミスト』では、文豪というコンテンツが新しい魅力として生まれ変わっている。実際、このゲームをきっかけに近代文学に興味を持つ学生が増えている。若い人も、往年の文学ファン、演劇ファンも、この展示で世界を広げてもらえれば」と呼びかける。

 開館時間は10時~17時(火曜・金曜は19時まで)。入館無料。8月4日まで。

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