早稲田大学の早稲田小劇場どらま館と都立戸山公園が9月29日、「戸山公園野外演劇祭」の舞台とする園内箱根山地区の陸軍戸山学校野外演奏場跡で合同見学会を開いた。
座席の説明をする松本一歩さん=早稲田小劇場どらま館が「戸山公園野外演劇祭」舞台見学会
「戸山公園野外演劇祭」は、野外演奏場跡地を有効活用する目的で戸山公園が企画。1月17日に第1弾として上演した早稲田大学在学生による「浜辺のアルカ」を皮切りに、6月末までに8団体23公演が行われ、延べ約800人が観劇した。常時公演を行えることが特徴の一つだが、7月~9月の間は猛暑やヤブ蚊の発生などを考慮して上演を控えた。
10月以降の上演希望者を対象とした今回の見学会は、どらま館で制作を担当する吉田恭大さんが企画し戸山公園との共催で開催。吉田さんは「地元新宿の演劇文化、早稲田演劇の醸成、地域との連携は使命の一つ。隣接する戸山公園と連携してこの演劇祭を盛り上げていくことは大学の理念にかなう。昨年9月の見学会が好評を得たこともあり、このタイミングで2回目を企画した」と話す。
9団体13人が参加し、戸山公園サービスセンターの杉山俊司センター長が開催の目的や経緯などについて、東京都公園協会パークコーディネータの高田耕作さんが上演に関する説明と事例紹介を行った。
5月の上演の際、以後の参加者のためにと、貸し出しを前提に所作台と客席を作り、公演後にバックステージツアーを行った演劇カンパニー「平泳ぎ本店」主宰の松本一歩さんがゲストとして参加。作り手と演者の視点からの振り返りとアドバイスを行った。貸し出し品の設営や利用方法などの説明も行った松本さんは「一枚の板を敷くことでここは演劇のための空間になる。この場を通じて人の輪が広がるなら、その力になりたい」と話す。
野外演劇については「自然環境、鳥の鳴き声やヘリコプターなどの音、通行人など劇場にはない未知の不確定要素と出合うことによって試される場。この環境の中で自分たちの表現を磨き新しい表現にたどり着く人も出てくるのではないか。そういう意味でも皆さんにとって刺激的な場所だと思う」と呼びかけた。
断続的な小雨に見舞われる中、参加者は熱心に説明に耳を傾け、公園利用のルールや演出上の疑問点などについて質問していた。