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区立戸山図書館で「みんなにやさしい らくごかい」 春風亭昇吉さんを迎え

春風亭昇吉さん UDトークを使った落語

春風亭昇吉さん UDトークを使った落語

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 区立戸山図書館(新宿区戸山2)が3月15日、春風亭昇吉さんを迎えて落語会を開いた。サブタイトルは「障害がある方もそうでない方も このゆびとまれ!」

春風亭昇吉さん=区立戸山図書館で「みんなにやさしい らくごかい」

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 同イベントは、障害の有無にかかわらず誰でも楽しめる落語会を目指して、同館と落語家の春風亭昇吉さんが代表を務める落語ユニバーサルデザイン(以下、落語UD)化推進協議会が企画。易しい日本語や、音声をリアルタイムで文字に変換する文字表示システム(UDトーク)を活用し、視覚・聴覚の両面から落語の世界を楽しむことができるプログラムとした。

 大学時代にボランディアで盲学校に行った時に「あなたの声はとても聞きやすい」と言われたことが落語家を目指すきっかけになったという昇吉さん。昨年は、点字、凸凹を付けて触ることができるイラストのほか、巻末に絵本に登場する物の立体模型を作れる3Dプリンター用の設計データを2次元コードで掲載するなど工夫をした、ユニバーサル絵本「てんじつき さわるえほん たのしいらくご1 まんじゅうこわい」を出版。本イベントはこの取り組みに続く「落語UD」の新たな取り組みという。

 当日は、落語「まんじゅうこわい」「桃太郎」「金明竹」のプログラム3席と、落語で使う太鼓、出ばやしに関する説明や、「手紙を書く」「そばをすする」などの落語の所作の体験の時間を設けた。約70人が来場、来場客からは「昇吉さんの話が面白かった。落語ユニバーサルデザイン化を初めて知った」「UDトークで多くの方が楽しめる企画で素晴らしい」「UDトークは発展途上中とのこと、文字化けの箇所が何カ所かあったが、聴覚障害のある方や高齢の方にとってはやさしいと感じる」などの声があった。

 「UD落語」について、昇吉さんは「いろいろな人が集い、一緒に笑い楽しむということが大事。この取り組みに意義があるのではなく、今日、足を運んでくれたお客さまに楽しんでもらわないといけないという思いで取り組んでいる」と胸を張る。UDトークについては「落語になじみのない人には、長屋、小僧さん、ご隠居さんなど、聞き流すと分かりにくい言葉も文字にすると理解が深まるということもある。聴覚障害者だけでなく、落語初心者や外国籍の人、高齢で耳が聞こえにくくなってきたなど落語を聞くことが難しい人でも楽しめるように工夫することが目的」と話す。「見据えているのは、この落語がきっかけとなって、例えば会社や学校などの教育現場、演劇や音楽へのユニバーサルデザイン化の広がり。技術やノウハウが広がって、世界全体に、この優しい仕組みが広がれば」とも。

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