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早稲田駅前「リカーショップ小倉屋」がリニューアル 1678年から続く老舗

リニューアルオープンした「リカーショップ小倉屋」の店頭

リニューアルオープンした「リカーショップ小倉屋」の店頭

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 東京メトロ東西線早稲田駅前にある酒販店「リカーショップ小倉屋」(新宿区馬場下町3、TEL 03-3203-6660)が建て替え工事を終え3月22日、リニューアルオープンした。

1930(昭和5年)年ごろの店頭で撮影された写真=早稲田駅前「リカーショップ小倉屋」がリニューアル

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 1678年創業の同店。江戸時代の戸塚村にあった馬術や弓術の練習場「高田馬場(たかたのばば、現在の西早稲田3丁目付近)」で行われた「高田馬場の決闘」の際、堀部安兵衛が立ち寄り、酒を飲んだと伝えられる。店の南側は夏目漱石の生家があった場所で、「夏目漱石誕生之地」と記された石碑も立ち、歴史を感じられる場所となっている。

 今回のリニューアルは、東京都が実施する「環状第4号線(夏目坂通り)」の都市計画事業に伴うもの。都市計画の対象は、地下鉄早稲田駅前交差点から若松町交差点までの間の夏目坂通り。幅員約11メートルの道路を20メートルに拡幅整備する計画で、都は「車道は2車線、その両側に歩道を整備する。併せて自転車走行空間の整備や電線類の地中化、街路樹の植栽を行う」としている。

 建て替え前の店舗は1973(昭和48)年に完成。すでに都市計画があったため、セットバックする予定の部分は、交差点から最大約5メートルの敷地が2階建てで、建物の後ろ部分が4階建てだった。店主の栗林昌輝さんは「夏目坂の入り口に立地していることもあり、私たちがいつかは決断しないといけないと思っていた。娘にその決断を負わせることはできないと考え、弟と相談して、このタイミングで建て替えることにした」と話す。新築のビルは6階建て。

 建て替え前は酒販店の隣で栗林さんの弟が「小倉屋青果店」を営んでいたが、建て替えに伴い閉店し、そこに酒販店が移動した。これまで、早稲田通りの拡張、地下鉄東西線の開通などに伴い、街の再開発に応じてきた同店。今回も地元のまちづくりに貢献する形となった。

 2023年4月で旧店舗での営業を終え、早稲田通り沿い徒歩2、3分程度の場所で仮店舗を構え営業してきた。約2年ぶりに元の場所で営業を再開。店舗面積は以前と同様で約15坪。品ぞろえも以前と変わらず、日本酒、ビール、ウィスキー、スピリッツ、焼酎、ワイン、ブランデー、リキュールなど酒類全般を約600種類用意する。

 栗林さんの描いた絵をしつらえたオリジナルブランドの「吟醸酒堀部安兵衛」「吟醸酒わせだ夏目坂」(以上1,650円)、地ビールの「早稲田ビール」(白=465円、黒=476円)なども販売する。「最近はワインと日本酒が人気」(栗林さん)という。

 新しい店内には堀部が飲んだと伝えられる酒升の写真や1930(昭和5年)年ごろの店頭で撮影された写真のほか、建て替えの際に発見された江戸時代ごろに使われていた「通いとっくり」なども展示。新しい店のロゴマークは、通いとっくりに描かれた意匠をモチーフにした。

 栗林さんは「地元の方に加えて、早稲田大学や東京女子医科大学の先生や学生さんとも多くの思い出がある。最近では外国人の方も多い。お酒には一つ一つストーリーがある。お客さんとの会話で、それらを伝えながらお薦めしていければ」と話す。

 営業時間は11時~20時。日曜祝日定休。

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