
区立戸山図書館(新宿区戸山2)が4月19日、映画「じんじん」のバリアフリー上映会と大地康雄さんのミニ講演を開いた。
大地康雄さん=区立戸山図書館で映画「じんじん」バリアフリー上映会
映画「じんじん」は、絵本の里として知られる北海道剣淵町を舞台に、大地さん扮(ふん)する大道芸人の主人公・立石銀三郎と6歳の時に別れた娘との物語を中心に、人の優しさと親子の絆を描くヒューマンドラマ。大地さんが北海道を訪れた際に出合った剣淵町の「絵本の館」での取り組みを基に映画化を企画し、絵本の読み聞かせをストーリーに盛り込む。監督は山田大樹さん、脚本は坂上かつえさんが務め、佐藤B作さん、中井貴恵さん、村田雄浩さん、小宮孝泰さん、中田喜子さん、小松美咲さん、若村麻由美さん、板尾創路さん、手塚理美さんらが出演する。
2013(平成25)年7月に全国公開。現在は地域の団体や個人が主催者となり学校や公民館などで上映する「スローシネマ」形式で上映が続いている。
2023年12月には、新宿区の視覚障害者等サービスの拠点館として位置付けられている同館で視覚や聴覚に障害がある人も楽しめるよう「音声ガイド」と「日本語字幕」を付けたバリアフリー上映会を開催した。
バリアフリー上映会については、「戸山図書館が取り組むバリアフリー上映会がヒントになった」と大地さん。以前から同館が視覚障害者に送る「声の図書館だより」のボランティアとして図書館からの情報の読み上げを担当する大地さんが、矢部剛館長に相談したことから同作品のバリアフリー化が実現。その後、各地の図書館などでバリアフリー上映会を開いている。同館での上映は2回目。
ミニ講演では、AIによる音声認識により話した言葉が即座にスクリーンに映し出される「UDトーク」を使用した。「剣淵町の取り組みや自然の風景を目にして、日本にこんな場所があったのかと感動した。剣淵町の素晴らしさ、絵本の素晴らしい世界を映画にして全国の皆さんに届けたいと固く決意をした」と映画制作のきっかけを語り、キャスト選びや共演者とのエピソード、旭川刑務所で行った上映後の受刑者からの感想の紹介などを行った。
大地さんは「絵本には壁がない。易しい言葉で、子どもにも大人にも、どんな立場の人にも、その心に染みる。『じんじん』のストーリーを通して日本の素晴らしさを感じてもらいたい。親子の愛をもう一度考えるきっかけにもなれば」と呼びかける。