
Space早稲田(新宿区早稲田町)を稽古場兼劇場として活動する演劇企画集団、流山児★事務所が6月23日、創立40周年記念公演を始めた。
流山児祥さん 舞台「夜の左側」より=流山児★事務所 創立40年
同事務所の代表理事を務める流山児祥さんは、中学時代から演劇部に所属。青山学院大学演劇研究部に入部後、故唐十郎さん主宰の劇団状況劇場、鈴木忠志さん主宰の劇団早稲田小劇場に研究生として所属、1970(昭和45)年に劇団「演劇団」を設立。1984(昭和59)年7月に、小劇場演劇の横断的結合を目指して同事務所を立ち上げた。自身は、演出家、俳優、プロデューサーなどの役割を担う。
1996(平成8)年には、実践を通じて若い役者を育てるためにSpace早稲田を開設。翌年に立ち上げた45歳以上の大人のための演劇ワークショップ「楽塾」は、高齢者を主体とする演劇活動の先駆けとなる取り組みで、2018(平成30)年にプロ劇団「シアターRAKU」と名称変更して現在も定期公演、海外公演なども行う。
記念公演で上演する作品は、いずれも詩人・劇作家の平田俊子さん作で、約20年ぶりとなる新作戯曲「夜の左側」、30年前に書き下ろされた「ガム兄さん」の改訂版の2作品。同事務所は「イマに向き合い、誰もが生きやすい社会を希求する不思議な詩的ファンタジー、これこそ私たちの新たな演劇の冒険」(原文ママ)と紹介する。
流山児さんは「若い人にも、同世代の人にも、平田さんの言葉を役者の肉体で表現する芝居に身を委ねて家へ帰って考えてほしい。テーマは普遍的でシンプル。『人間って何だろう?』『生きることって何だろう?』、そんなことが伝えられたら」と話す。
Space早稲田という「陣地」を作り演劇集団を維持し、演劇を通して世代や国を越えて人と交わり、アングラ演劇、シェークスピア劇、歌舞伎、近代詩など幅広いジャンルの作品を企画上演してきた流山児さん。今後の活動について、「鈴木忠志さんの早稲田小劇場が私の原点でもある。早稲田に稽古場兼劇場を持ち、40年もこの近隣で生活をしている。ざわざわしたこの町にこだわりたい。早稲田小劇場どらま館で『シアターRAKU』公演もやってみたいし、機会があれば唐十郎さんも舞台にした戸山公園で事務所の音楽劇もやってみたい」と意欲を見せる。
料金は、前売り=各4,800円、当日=各5,000円、2作品通し券=8,000円、高校生以下=各1,000円など。公演期間は、「夜の左側」=7月2日まで、「ガム兄さん」=7月14日~21日。