早稲田大学演劇博物館(新宿区西早稲田1)開館100周年応援企画として、同館館長で同大教授の児玉竜一さんが案内する歌舞伎鑑賞と同館ツアーが、3月23日、24日に行われた。
同館の正式名称は早稲田大学坪内博士記念演劇博物館。同校の講師を務め、文学部の創設などに尽力した坪内逍遙の構想を基に、逍遙の古希と「シェークスピヤ全集」の完成記念に合わせて1928(昭和3)年に構内に開館。再来年100周年を迎える。
受講料の一部が同館の収蔵スペースの改修・増設などを目的とする記念事業募金に寄付される開館100周年応援企画として、早稲田大学アカデミックソリューションが主催した同ツアー。当初20人の定員としていたところ、申し込みが殺到したため対応可能な40人まで定員を拡大して行った。
児玉さんは、歌舞伎研究と評論を専門とし、朝日新聞などでの歌舞伎評の執筆、NHK「古典芸能への招待」の解説や、映画「国宝」の原作監修を務めるなどしている。
講義では、児玉さんの歌舞伎座タワー(東京都中央区)での事前講義の後、「三月大歌舞伎」を鑑賞。翌日、同大早稲田キャンパス3号館の教室で事後講義の後、児玉さんが同館を案内し、16世紀のエリザベス朝時代の英国の劇場「フォーチュン座」を摸した同館建物や歌舞伎や能などの展示品について説明した。幅広い年齢層から参加があり、講義や見学の中ではそれぞれの視点で多くの質問が上がった。
児玉さんは「初めての企画で果たして参加してもらえるのだろうかと心配したが、卒業生、カルチャーセンターなどでなじみの方のほか初めての方、また年齢も含めてさまざまな方に参加していただけたことが何よりだった」と振り返る。
「私が初めて当館を訪れたのは中学1年から2年になる春、歌舞伎を見るために関西から上京した時に、ここで歌舞伎の衣装展を開催していることを雑誌で知ったのがきっかけ。演劇を学ぶなら早稲田だろうと入学したが、100周年を迎える年にまさか自分が館長になろうとは思ってもみなかった。私の役割は、研究と合わせて演劇というものに興味を持つ人を増やしていくこと、観客を育てることだと考えている。そういう点で役に立ちたい」と話す。
同館の齋藤治子事務長は「逍遥が打ち立てた『古今東西のあらゆる演劇に関する資料を幅広く収集する』という理念を100年の間、愚直なまでに引き継ぎ、収集を続け現在の収蔵品は100万点を超える。この膨大な資料の維持・保管のための寄付をお願いしている」と話す。「当館の設立時にも俳優たちの寄付興行による支援があった。本企画も『楽しむことが支援になる』ことを趣旨とした。参加者に喜んでもらえるような企画、当館をもっと知ってもらえるような企画を用意して取り組みを続け、また次の100年へと、つないでいきたい」と力を込める。