シェークスピア作品を上演する劇団「シェイクスピアシアター」が、5月16日、戸山公園野外演劇祭参加作品として「夏の夜の夢(1時間版)」を上演した。
公演の様子1=「シェイクスピアシアター」が戸山公園野外演劇祭で「夏の夜の夢」公演
戸山公園野外演劇祭は、芥川也寸志、團伊玖磨ら作曲家を輩出した陸軍戸山学校軍楽隊が演奏場としていた箱根山地区の野外演奏場跡を舞台として活用する都立戸山公園の取り組み。随時参加団体を募集し、参加団体と同園を管理する戸山公園サービスセンターの共催で開催する。2024年1月の第1回公演から今回の公演は22作品目。作品上演前には、同センターの職員が戸山公園の歴史、野外演劇祭開催までのいきさつなどの説明を行う。
シェイクスピアシアターは、演出家の出口典雄さんが1975(昭和50)年5月にシェークスピアの全作品37作の上演を目指して旗揚げし、1981(昭和56)年にこれを達成。2020年の出口さん急逝後、高山健太さんを主宰とする新体制で活動している。出口さんの遺志を受け継ぎ、小田島雄志訳の戯曲に忠実にシェークスピア作品のみを、舞台装置をほとんど使わず、ジーンズやTシャツなど現代的な衣装で演じる。
高山さんは「劇団として野外劇は初めて。『夏の夜の夢』は私自身50回以上は演じた作品で、その面白みは体に染み付いている。それを1時間の野外劇でどう伝えられるかが課題だった。隠れる場所がないことを逆手に取って、お客さまに全てをお見せして、見えることを楽しんでもらおうと考えた」と話す。
演出は、舞台となる六角形の石畳に立つ6つの柱に6人の俳優を配置し、俳優がそれぞれの柱を一周すると別の登場人物になって現れるという趣向で、妖精パックとディミトリアスを演じた高山さんは、客席を駆け抜け2役を演じ分け客席を沸かせた。ハープ、ギター、リコーダーなどが奏でるアイリッシュ音楽の生演奏がシェークスピア劇の雰囲気をより深めた。約140人の観衆からは、たびたび笑い声が起きていた。
高山さんは「シェークスピアの戯曲が持つ余白の自在さ、戸山公園の自由度が、劇団の演劇手法を、より開放的にしてくれた。改めてシェークスピアはいつでもどこでもやれる作品だと確信した。お客さまの反応からも、シェークスピアのいた時代もこんな雰囲気で上演が行われていたのではないかと感じられた。本公演がここで実現できたことを幸せに思う」と話す。