ブラジルのHIV陽性のアーティストなどが、ダンスや詩を通して声を上げる姿を捉えたドキュメンタリー映画「神はエイズ」の上映会が12月14日、高田馬場のコワーキングスペースCASE Shinjuku(新宿区高田馬場1)で開かれた。
12月1日の世界エイズデーに合わせ、エイズ予防の啓発や情報発信をする「TOKYO AIDS WEEKS 2023」の約30の関連イベントの一つ。事務局はNPOぷれいす東京(新宿区高田馬場4)が務める。
2021年公開の映画で、監督は、グスタボ・ヴィナグリさんとファビオ・レアルダンスさん。ブラジル在住のHIV陽性のアーティスト、活動家、医師など8人が、世間の無知やゲイシーンにおける人種差別、HIVに感染した女性たちの存在が十分に知られていないことに対して声を上げる姿を捉えたドキュメンタリー。パフォーマンスや詩を通して、HIVに対する新しいイメージを伝え、人間の体と死に対する理解を深める。
ぷれいす東京の代表、生島嗣さんは「ノーマルスクリーンのSHOさんが見せてくれた、HIV陽性者たちが現状を変えるために自ら行動する様子を記録したこのドキュメンタリーをどうしても日本のHIVに関わるコミュニティの人たちと一緒に鑑賞したかった。さまざまなエイズアクティビズムの紹介を通し、それぞれが身体や死に対し理解を含め、HIVに対する新しいイメージについて語る姿は観客に大きなインパクトを与えた」と話す。
上映後は、ダンサー、パフォーマーとして活躍する川口隆夫さん、ドラァグクイーン、アーティストとして活躍するマダム ボンジュール・ジャンジさん、HIV陽性者で俳優、映画製作などを行う福正大輔さんが登壇し、ウイルスとの共生や、偏見や差別と闘ってきた自身の経験などが語られた。
HIV陽性者、医療関係者、アーティスト、大学生など50人を超える観客と主催者、登壇者の交流の時間も設けられ多くの感想などが交わされ、参加者の中から「自分にも何かできるのではと奮い立つ気持ちがわいた」という声が聞かれた。