早稲田大学の学部卒業式、芸術学校卒業式および大学院学位授与式が早稲田アリーナ(新宿区戸山1)で3月25日、26日に開かれた。
今年の多くの卒業生は、入学のタイミングで新型コロナの影響を受けた学年。入学式や新歓が中止になったり、1年生の間はオンラインで授業を受けることになったり、多くの学生が思い描いていたものとは異なる大学生活となった。
卒業式は、保護者は早稲田キャンパス内に用意された中継会場やオンライン配信での参加となったが、それ以外はコロナ禍以前と同様の形式で開催。2日間で約1万人の卒業生、修了生が巣立った。
田中愛治総長は「最も充実すべき学生生活の多くが失われたと感じている人もいるかもしれない。しかし、コロナの経験をネガティブに捉えず、このつらい経験が役に立つ日があると信じて進んでもらいたい。早稲田大学で学んだたくましい知性、しなやかな感性、響き合う理性、その大切さを心に刻み、今後の人生に生かしていただきたい」と卒業生に語りかけた。
15年後に卒業生を大学に招待するホームカミングデーについて、「早稲田での思い出を良い物に変えてほしい」という思いから、今年の卒業生は5年後に招待することも発表した。
久々の制限のない卒業式に際し、早稲田キャンパスや大隈庭園では、毎年長蛇の列になる「早稲田大学卒業式」と書かれた立て看板を例年の2本から6本に増やした。記念撮影で人気の大隈重信像に加え、キャンパス内にフォトスポットが設置され、公式マスコットキャラクターのワセダベアの着ぐるみも登場するなどし、小雨が降る中、記念撮影をする多くの人の姿が見られた。
2020年にサークルの幹部代として初となるオンラインの早稲田祭を経験した今野泰齊さんは「とても楽しい学生生活だった。卒業式では知らない人ばかりだったが、卒業生の代表や先生がコロナ禍だったのを前向きに捉えて、頑張ったという話を多くしていて、早稲田の折れない大学という強さを感じた。そんな大学に入れて良かった」と振り返った。