演劇カンパニー 平泳ぎ本店が、戸山公園野外演劇祭参加作品「若き日の詩人たちの肖像」を5月17日から上演する。
陸軍戸山学校野外演奏場跡での公演告知(Photo by Kyono Hirose)
戸山公園野外演劇祭は、芥川也寸志、團伊玖磨ら作曲家を輩出した陸軍戸山学校軍楽隊が演奏場としていた箱根山地区の野外演奏場跡を舞台として活用する都立戸山公園の取り組み。2023年秋から参加者を募り、第1弾として今年1月に早稲田大学の現役大学生による「浜辺のアルカ」を上演した。今回が第6回の公演。
平泳ぎ本店は、主宰の松本一歩(かずほ)さんが早大文学部演劇映像コース卒業後、3年間所属した文学座の演劇研究所の仲間と2015(平成27)年に旗揚げした演劇カンパニー。
演劇の勉強を始めた頃から野外演劇に魅力を感じて見続けてきたという松本さんは「役者として雨や強風にさらされて自然の中に一人の俳優が立っている姿はシンプルにかっこいいと感じる。開かれた場所で上演することで、演劇に興味がない人も偶然に接する可能性が開かれる。劇場に比べて低コストで演劇を発表できることも魅力で、いつか東京で野外公演がしたいと下調べをすると小さな劇団にはハードルが高いことが分かった。戸山公園で野外公演を公募していることを知った時は、まさに渡りに船と申し込みを入れた」と振り返る。
上演作品は昭和10年代を舞台とする堀田善衛の自伝的小説を野外劇として再構成する。
「原作は戦時下という極限状態の中で言葉の力を問う作品。陸軍軍楽隊練習場跡地という場所でこの作品を上演することで、現代のパレスチナやウクライナの問題を考え平和について思いをはせ世界平和を願うような作品になれば」と松本さんは話す。
18時30分開演。今月19日まで。
現在、公演終了後に舞台作りのノウハウを共有するバックステージツアーと、大道具として制作する木製所作台の再利用を行うためのクラウドファンディングを行っている。松本さんは「野外で演劇作品を発表したいと考える人たちの後押しをしたい。若い人たちが幅広い作品を発表できるようになれば」と支援を呼びかける。