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下落合のアダチ版画が実演体験イベント 北斎「神奈川沖浪裏」を題材に

「浮世絵 摺実演&摺体験」の様子

「浮世絵 摺実演&摺体験」の様子

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 アダチ伝統木版画技術保存財団(新宿区下落合3、TEL 03-3951-1267)が8月3日、浮世絵の摺(すり)の実演と体験イベントを開催した。

アダチ版画研究所の摺師(すりし)、鈴木茉莉奈さん

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 同財団は、江戸時代の浮世絵の制作技術を持つ版元、アダチ版画研究所が伝統木版画技術を次世代に継承し、広く国内外に紹介することを使命として1994(平成6)年に設立。「伝統木版画の制作技術に関する研究などの奨励と保存」「技術者の擁護育成」「普及」「日本の美術文化の発展」を目的として活動する。

 イベントは木版画の制作現場を見学したいという要望に応えて、定期的に行う「浮世絵木版画技術実演会」の一環。今回は、財団設立30周年と葛飾北斎「神奈川沖浪裏(なみうら)」の新1000円札図案採用を記念して現在開催中の企画展「数字でわかる 北斎『神奈川沖浪裏』の世界的評価とその魅力」関連の夏休み特別イベントとして開催した。

 親子向け、一般向けの2部制で、定員を上回る申込者の中から、それぞれ15組、30人が参加した。

 当日は、アダチ版画研究所の摺師(すりし)、鈴木茉莉奈さんが和紙に「神奈川沖浪裏」を刷り上げるまでを実演。その後、参加者は体験用に用意された2分の1のサイズの版木と和紙で、版木に紙を置く際にずれが生じないよう版木に付けられた「見当」と呼ばれる印に合わせて紙を置く作業や、ばれんという専用の道具で和紙の繊維の中に絵の具の粒子を刷り込む作業などを体験した。

 参加者からは、「職人の実践を解説付きで間近で見ることができ迫力があった」「大好きな絵の仕組みが分かった」「見当の調整をしているのがすごいと思った」「刷りは力が必要で難しかった」「浮世絵に実際に触ることができてうれしかった」などの感想が寄せられた。

 入社6年目の鈴木さんは子どもたちの真剣な様子に「普段の仕事となると当たり前のようになってしまうが、『この仕事が楽しい』という気持ちを思い出させてもらった」と振り返り、「私自身も伝統工芸や歌舞伎、また塗り絵など色を作ることが好きな子どもだった。参加した子どもたちの中から摺り師になる子が出てくれば」と期待を込める。

 次回は「摺実演」を12月14日に開催予定 。

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