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高田馬場の「焼麺 劔」がリニューアル 他界した店主の遺志、弟子引き継ぐ

高田馬場のラーメン専門店「焼麺 劔」の皆さん(右が事業を引き継いだ浦澤雄基さん)

高田馬場のラーメン専門店「焼麺 劔」の皆さん(右が事業を引き継いだ浦澤雄基さん)

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 高田馬場のラーメン専門店「焼麺 劔(つるぎ)」(新宿区高田馬場2)が8月12日にリニューアルオープンした。

「焼麺 劔」の看板メニュー「目玉焼麺(大盛り)」(840円)

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 「焼麺 劔」は店主の星剣馬さんが、北海道旭川市発祥で創業50年以上の歴史を持つラーメン専門店「梅光軒」で修業した後、2011(平成23)年にオープン。「梅光軒」では海外出店にも関わるなど経験を積んだ。自らの力やアイデアを試したいという気持ちから、国内有数のラーメン激戦地として知られる高田馬場に店を構えた。

 「焼麺 劔」のラーメンは、ゆでた麺を鉄板の上で片面を焼き上げ、その後蒸し上げることで「パリッとした食感ともちっとした食感が味わえる」(店主の浦澤雄基さん)のが特徴。スープは、豚骨、魚介をベースに男爵イモや野菜を使い「ポタージュのようなまろやかな味わいを生み出している」という「ベジポタスープ」を使う。

 目玉焼きのトッピングや「秘伝」とする豚バラチャーシューなど、独自性を追求したラーメンで、学生をはじめ、近隣のサラリーマンなど多くの人から親しまれてきた。TBSの番組「激戦区!頂上めしGP」で3位に入賞したり、地域イベント「高田馬場・早稲田ラーメンラリー」で上位に複数回ランクインしたりもしていた。

 昨年の春先から新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける中、4月に発令された緊急事態宣言中は臨時休業。2店舗目の三郷店では業態変更などに取り組み、コロナ禍を乗り切るために模索を続けていた。そんなさなか、星さんが不慮の事故で43歳という若さで急逝する。

 緊急事態宣言の解除後も休業状態が続き、営業を再開したのは昨年11月。他の飲食店が営業を再開する中、休業状態が長く続き、心配するファンや地元の人の声もあった。星さんの下で約5年間、弟子として修業を重ね、共に店を切り盛りしてきた浦澤さんが事業を引き継ぎ、多くの関係者の力添えを得て営業を再開した。

 浦澤さんは「『焼麺 劔』の味を何とかして残したいと思っていた。その気持ちは私だけではなく、ご遺族の方も同じだった。ご遺族の方からも支援してもらい、店を存続することができた」と振り返る。

 今年5月からはリニューアルなども含め、体制を整えるために、再度休業に入った。内装のリニューアルでは、テーブルの高さを創業当時に戻したり、壁紙を星さんが大切にしていたイメージカラーの黒に統一したり、先代のこだわりを反映させた。浦澤さんは「原点回帰のためのリニューアル。他界した店主の遺志を引き継ぐ」と話す。

 近隣の飲食店よりも休業期間が長くなったことや、新しい客にもラーメンを食べてもらいたいという思いから、「CAMPFIRE」でクラウドファンディングを8月25日に開始。24時間を経ずに目標の50万円を達成し、数日でネクストゴールの100万円にも到達した。支援者からは、昔を懐かしむ声や応援メッセージ、星さんをしのぶ声が寄せられている。

 浦澤さんは「ただ店を残すのではなく、より多くの人に亡き店主の味を伝えてもらいたいという気持ちでリニューアルを行った。通ってもらっているお客さんにも、新しいお客さんにも亡き店主が残した一杯をこれからも食べていただきたい。当店を知る人も、知らない人も温かい支援を頂ければ」と呼び掛ける。

 緊急事態宣言中の営業時間は11時30分~20時。日曜定休。クラウドファンディングは9月30日まで。

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