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早大前の喫茶店「ぷらんたん」がリニューアル 明るい雰囲気で「対話を大切に」

 「ぷらんたん」のマスターこと店主の前田広喜さん、「大隈塾」のプロジェクト活動「WDS」有志メンバー久米晃司郎さん、溝口大樹さん(左から)

 「ぷらんたん」のマスターこと店主の前田広喜さん、「大隈塾」のプロジェクト活動「WDS」有志メンバー久米晃司郎さん、溝口大樹さん(左から)

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 早大南門通りにある喫茶店「ぷらんたん」(新宿区戸塚町1、TEL 03-3202-8333)が9月13日、リニューアルオープンした。

早大前の喫茶店「ぷらんたん」の2階に掲示されているクラファン支援者の「ペナント」 その1

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 「ぷらんたん」は1950(昭和25)年のオープン以来、チェーン店ではない喫茶店としてその伝統を守り続けており、現在は早稲田大学OBで4代目店主の前田広喜さんと妻の美智子さんが切り盛りしている。創業70年を迎えた昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい経営状況が続いていた。

 そのような状況下、早大の講義「たくましい知性を鍛える(通称=大隈塾)」で学ぶ学生たちから「何かITでお困りのことはないか」と声が掛かり、大隈塾のプロジェクト「Waseda Digital Support(WDS)」の有志メンバーのサポートを受け、今年1月からクラウドファンディングを実施。1000人以上から750万円以上の支援が集まった。

 支援を受け、今年3月と5月に内装や換気設備増強の工事を行い、「伝統を守りながらも時代の変化に対応してきた」と前田さん。今回は3度目のリニューアル工事で、8月1日から9月12日まで休業し、1階と2階のリフォームを行った。

 1階は、店内を明るい雰囲気にしたいという思いから、天井を高くし、LED照明を導入。壁面には木の質感が豊かなラーチ合板を使用。ラーチ合板は前田さんが尊敬する建築家の隈研吾さんが好んで多く取り入れている素材という。腰高には前田さんが好んでいる名栗杉の焼き杉を使い、温かみのある空間に仕上げた。

 1階と2階の床材の張り替えでは、従来の床材を一部残しながら、違和感のないようなデザインの床材を選んだという。1階の天井と2階の床材張り替えに際して、70年の月日で痛んでいた建物の構造を強化する工事も行った。入り口も新しいドアに入れ替え、1階の入り口付近にあった焙煎(ばいせん)機を店奥に移動し、窓から光が多く入るようにした。

 2階には、クラウドファンディングのリターン品である支援者の名前が入ったペナントを50枚超、取り付けた。取り付け作業はWDSのメンバーと一緒に行った。美智子さんは「ここにある名前を見るだけで顔が浮かぶ。温かみ以上のものを感じる」と70年の歴史を感じながら、感慨深げに話す。

 WDSの有志メンバー・溝口大樹さんは「まずはリニューアルオープンに向けた準備に協力してもらった方へ感謝の気持ちを伝えたい。リニューアルをした中でも、変わらず残り続けているものもたくさんある。店に来て、コーヒーの味と共に新しくなったものを探して楽しんでもらえたら」と呼び掛ける。

 同じく有志メンバーの久米晃司郎さんは「昨年創業70周年という節目にあったが、コロナウイルスの影響で暗い雰囲気になっていた。リニューアルによって店内は明るくなり、名残を残しつつもより快適な空間に仕上がった。喫茶店として、対話を大切にしているマスターが、より対話が広まりやすい雰囲気にしてくれたので多くの方に来てもらいたい」と話す。

 前田さんは「かなり理想に近い形に仕上げることができた。内装をお願いした方には感謝している。店の雰囲気はお客さまがつくるもので、これは創業当時から変わらないお店のコンセプト。だからこそ対話を大切にしている。今はこういう時期なのでマスクをする、大声を出さない、ワクチンを打てる人は打つなど、危機感を緩めることなく感染症対策をしてもらい、店での時間を楽しんでもらえたら」と呼びかける。

 今後は、外看板や雨よけのオーニングを設置する予定。営業時間は12時~18時。日曜・祝日定休。

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