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早大が大隈重信没後100年の日に大学VCの設立発表 「イノベーションのエコシステムを」

記者会見に出席した早稲田大学の田中愛治総長

記者会見に出席した早稲田大学の田中愛治総長

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 早稲田大学(新宿区戸塚町1、以下早大)が創設者・大隈重信の没後100年に当たる1月10日、早大初のベンチャーキャピタル(以下VC)「早稲田大学ベンチャーズ」の設立を発表した。

大隈記念講堂で「大隈重信没後100年記念式典」を実施した

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 早大が実施した「大隈重信没後100年記念式典」の中で、田中愛治総長が「Waseda Vision 150 and Beyond -2050年に向かう早稲田-」と題した講演を行った。「Waseda Vision 150」は、2032年に迎える創立150周年に向けた事業。講演ではその先、2050年までのビジョンを示した。

 VC設立は、講演の中で示した3つの「BEYOND戦略」の中の「BEYOND研究+財務融合」に関わるもの。「学問の活用を図るベンチャー企業の育成を本旨」として創設し、共同代表に大学にもベンチャーにも知見を有する山本哲也さん、太田裕朗さんが就任する。

 株式会社を4月1日に設立し、年内をめどに80億~100億円規模のファンドを組成する予定という。「これまで早大と関係のあるVCはあったが、大学の名を冠していなかったため、大学の研究者、特許の情報の共有がされにくく、強みが分からない状況だった」(田中総長)という。

 山本さんは取締役パートナーとして東京大学エッジキャピタルパートナーズに関わった経験があり、太田さんは産業用ドローンメーカーACSL社を東証マザーズに上場した経験を持つ。「DeepTech領域で投資と経営に深い知見と経験を有する」(早大)という。

 田中総長は「『早稲田大学ベンチャーズ』の強みは、山本さんと太田さんとの間で若い人たちが研究の成果で社会貢献するためのスタートアップが必要だという考えが一致していること。理念とビジョンを共有できていることが最大の強みだと感じる」と期待を込める。

 山本さんは「最終的な目標は早稲田周辺にイノベーションのエコシステムをつくること。新しいVCだけが早稲田案件をやるわけではない。既存のVCやその他のVCも投資したくなるような環境にしていければ」と意気込む。

 「BEYOND研究戦略」では、2020年4月より本格運用された研究戦略立案、産学連携、知的財産管理、アントレプレナーシップの4つの機能を持つ研究支援組織「リサーチイノベーションセンター」の紹介や昨年11月に発表したカーボンニュートラル宣言を引き合いに、研究力の強みをカーボンニュートラル研究に結集するとした。

 「BEYOND財務戦略」では、これまでの募金などを再編し集約、1万円から寄付できる「早稲田大学応援基金」を発表。若い卒業生からの寄付が増えている状況などを説明した。

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