高田馬場駅前のJR山手線、西武新宿線のガード下にある鉄腕アトムなどのキャラクターが描かれた「アトムの壁画」が2月17日、擁壁点検のために一時撤去され、21日に貼り替えが行われた。
壁画の貼り替えを終えた高田馬場駅前ガード下(JR東日本側)の様子
壁画は高田馬場西商店街振興組合の申請により、1998(平成10)年にJR東日本側のガード下に設置。2005(平成17)年にはバリアフリー化改修工事のために一時撤去され、2008(平成20)年に再現。同年、西武鉄道側のガード下にも壁画を設置した。これまで壁画デザインに変更はない。
壁画は、鉄腕アトムが物語の中で、2003年に高田馬場の科学省で誕生したとされていること、壁面設置前はビラや落書きなどが多く暗いイメージだったこと、アトムの街として、手塚キャラクターで明るく、楽しく、子どもたちの心にも染み込んでいく表現にしたいという地域の声などから設置された。
JR東日本側のテーマは「ガラスの地球を救え」。1日の時間の流れと春夏秋冬を組み合わせている。西武鉄道側のテーマは「歴史と文化~過去から現在そして未来へ」。高田馬場にゆかりのある文豪や高田馬場の歴史が描かれている。新宿区の地場産業である東京染小紋のデザインが施されていることも特徴。
壁画の貼り替えは、鉄道会社が鉄道営業法に基づき、国土交通省に届け出をした基準により実施する擁壁点検のため、2年に1回の頻度で行われる。壁画の貼り替えは、高田馬場に本社を構え、壁画の設置から関わるキッズプロモーションが行っている。
擁壁点検で定期的に壁画を外すことになるため、同社が交換作業を想定した構造などを検討し、JR東日本、西武鉄道、新宿区などと協議を重ねて現在の構造となった。歩道が広くないこともあり、深夜時間帯にパネルを外す作業をするなど、周辺環境に配慮する。
キッズプロモーション取締役の吉井昌樹さんは「長年作業をしていることもあり、壁画交換の作業中には通行される人などから声を掛けてもらうこともある。地元に密着する仕事で地元に貢献できているのかなと感じる場面で、うれしく思う」と話す。