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西早稲田の「古書現世」店主が文芸書 店の日常描く、スーツによろいかぶとの客も

「古書現世」店主の向井透史さん

「古書現世」店主の向井透史さん

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 西早稲田の古書店「古書現世」(新宿区西早稲田)店主の向井透史さんが執筆した「早稲田古本劇場」(本の雑誌社)が8月26日、発売された。

「古書現世」で販売する「早稲田古本劇場」(本の雑誌社)

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 「古書現世」は向井さんの父、佑之輔さんが神保町での書店関連の仕事や西早稲田にある古書店「五十嵐書店」での修業などを経て開店。当初はマスコミ関係の書籍や新聞、放送に関する歴史書などが多かったが、現在は学術書なども充実させ、幅広いジャンルを取り扱う。2002(平成14)年に向井さんが店を引き継いだ。

 向井さんにはこれまでにも近隣の店主たちが古書店をはじめた経緯を聞きまとめた「早稲田古本屋街」(未来社)、短編小説風のエッセー「早稲田古本屋日録」(右文書院)の著書がある。ネット通販が普及する前に発行していた店の通販カタログの裏表紙にエッセーを書いていたことが、出版のきっかけになった。

 「早稲田古本劇場」は2010(平成22)年8月から2021年12月までの古書店の日常の様子をつづったもの。月刊誌で連載していた内容を加筆修正し、書籍にまとめた。

 買い取り、クリーニング、値付け、交換品出品、古本市、店番などの様子を「○月某日」に起こった出来事として、コミカルに描く。スーツによろいかぶとを身に着けた客やてんぐの面を着けた客など、古書店の多様な客のエピソードも盛り込む。表紙は路面電車の都電荒川線を走るワンマン列車、裏面は高田馬場付近の夜の様子をあしらう。

 向井さんは「『都電の早稲田』という街が伝わるようなデザインにしてもらった。本に詳しくなくても、古書店のことを知らなくても楽しんでもらえる。街の中にある小さな商店がどういう感じで生きているか知れる一冊。エンタメとして店を続けている中で起こる楽しさと大変さを感じてもらえれば」と呼びかける。

 全国の書店で取り扱う。価格は2,200円。

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