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文禄堂早稲田店が35年の歴史に幕 高田馬場の芳林堂書店からも惜しむ声

「文禄堂早稲田店」の店舗外観

「文禄堂早稲田店」の店舗外観

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 東京メトロ東西線の早稲田駅前にある書店「文禄堂早稲田店」(新宿区馬場下町)が9月16日に閉店する。

毎年春の恒例行事だった「Milestone Express」の納品の様子=文禄堂早稲田店が35年の歴史に幕

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 同店は1989(平成元)年に「あゆみBOOKS早稲田店」としてオープン。早大の近くということもあり、学生街の書店として歴史を重ねてきた。早大生向け情報誌「Milestone Express」や早大の受験生などに向けた「早稲田魂」など、学生サークルが発行する出版物も豊富に取り扱っていることも特徴。

 2018(平成30)年12月に「始まる」をコンセプトに、「学生街の書店」が新たなカルチャーを届ける新業態「文禄堂早稲田店」としてリニューアル。トークイベントができるスペースなどを整備したが、新型コロナの影響を受け、イベントを開催できない状態が長く続いていた。今年6月には客からお薦めの書籍などのPOPを募集する新しい取り組みを始めたところだった。

 2階には長年、「コーヒーハウス・シャノアール早稲田店(以下シャノアール)」があり、同店で書籍を購入した後にシャノアールで読書したことを思い出に持つ早大の卒業生も多い。シャノアールは2020年1月に閉店したが、その後「Cafe Renoir 早稲田駅前店」が同年3月にオープンし、1階は書店、2階がカフェの関係が続いてきたが、突然幕を下ろすことになった。

 広域高田馬場圏の新刊書店は、高田馬場駅前にある希少本の買い取り復刊でも話題の「芳林堂書店高田馬場店」、早大正門前の法律書など専門書を中心に扱う「成文堂早稲田正門店」、早大の生活協同組合の早稲田キャンパス「ブックセンター」、戸山キャンパス「生協戸山店」、西早稲田キャンパス「書籍部」が営業を継続している。早大の生活協同組合は、近隣住民や近隣の会社に勤めているなど一定の条件を満たせば早大生や教職員でなくても加入できる。

 高田馬場の芸能プロダクション「放映新社」所属の俳優で、早大教育学部を卒業した小野里茉莉さんは「文禄堂は、早稲田という街やそこにいる人々に対して常にオープンな姿勢で、いつもそこにあるという安心感があった。うれしいことがあった時はご褒美として漫画を買いに行き、仕事で迷ったら指南書を探しに行き、ふと時間が空いたら友達に会いに行くような感覚で店内に足を踏み入れた。そんな生活になじんで、寄り添ってくれた文禄堂がなくなってしまうのは、心にぽっかりと穴があいたようで寂しい」と話す。

 芳林堂書店高田馬場店の山本善之店長は「近くにはあるが、規模や大学からの距離など違いも多く、学内の生協も含めて、今までお互いを補完し合う形で、お客さまには便利に利用してもらっていた。早大生にとってもかけがえのない書店であり、閉店されることは非常に残念。その穴は大きく全てを補うことはできないが、当店は高田馬場で引き続き、皆さまのお役に立てるよう営業していきたい」と話す。

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