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文禄堂早稲田店、閉店の日に元バイトらの姿も 「店のDNA受け継がれていく」

閉店を惜しみ文禄堂早稲田店の店頭に集まった客の様子

閉店を惜しみ文禄堂早稲田店の店頭に集まった客の様子

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 東京メトロ東西線早稲田駅前にある書店「文禄堂早稲田店」(新宿区馬場下町)が9月16日に閉店した。

閉店後のシャッターが閉まる様子 その1=文禄堂早稲田店、最後の日に元バイトらの姿も

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 同店は1989(平成元)年に「あゆみBOOKS早稲田店」としてオープン。早大の近くにある学生街の書店として歴史を重ねてきたこともあり、学生時代の思い出の地に挙げる早大卒業生も多い。2018(平成30)年12月に「始まる」をコンセプトに、学生街の書店が新たなカルチャーを届ける新業態の「文禄堂早稲田店」としてリニューアルしていた。

 今年6月に客からお薦めの書籍などのPOPを募集する新しい取り組みを始めたが、8月9日に突然閉店の告知があり、早大生、卒業生、近隣住民や書店関係者などから驚きの声が上がった。

 最終営業日には、早大生や卒業生、近隣住民などが最後の別れに店を訪れた。閉店前の20時30分ごろ、店内は30人を超える客でにぎわいを見せていた。同店の特徴でもあった選書棚「Book Mansion」、ミニギャラリー「Waseda Book Gallery」から本が少なくなっていたり、訪れた客が記念撮影したりする様子も見られた。閉店時間の21時には、思い思いの本を手にした客でレジに列ができ、10分ほど後に最後の営業を終了した。

 閉店時には店のスタッフから「あゆみブックスで29年、文禄堂で6年、地域の皆様や早稲田大学の学生さんなどに支えていただくことで、歩んでこられた。本日で早稲田店は閉店だが、皆さまの心の中に記憶していただければ幸い。早稲田店のDNAは、営業中の高円寺店、荻窪店で受け継がれていくと思う。長年にわたりご利用いただき、心より感謝しています」とあいさつがあり、その後シャッターが閉められ、集まった人たちから拍手が送られた。

 早大生時代に同店でアルバイトをしていたという男性は「店内を1時間ほど見て回って、すぐそこの武道家でラーメンを食べて、また戻ってきた。当時のバイトの人たちに会えるかもしれないと思ったのが来た理由。閉店は突然のことで驚いている」と店頭で最後の営業の様子を見ながら話した。

 同店でも販売していた早大生向け情報誌「Milestone Express」を制作する早大生は「完成した冊子を自分たちで搬入した時は、本当に感慨深かった。懇意にさせていただいた書店が閉店することになり、とても寂しい」と閉店間際に話した。

 最後の客となり3冊の本を購入したのは、早大生時代に常連客で、社会人になってから同店でアルバイトをしていたという女性だった。「会社員を辞めた後に、この店でアルバイトしたことが社会に復帰する足がかりになったので、とても寂しい。売れ筋もそろえつつ、当時の店長が作るパンチのある棚が魅力的だった。来るのがぎりぎりになってしまったが、間に合って良かった」と話した。

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