染色体験や染めの工程の一つ「水元(みずもと)」を再現する「神田川 水べの染め体験」が7月22日、神田川親水テラスと隣接する戸塚地域センター(以上、新宿区高田馬場2)で開催された。主催は戸塚地区青少年育成委員会、新宿区染色協議会。
神田川親水テラスで行われた「水元(みずもと)」再現の様子 その2
新宿の地場産業である染色により親しんでもらおうと、毎年夏の「神田川親水テラス」の開放期間中に開催される同イベント。コロナ禍で4年ぶりの通常開催となった。
江戸川橋・高田馬場・落合周辺の神田川や妙正寺川沿いは、明治から大正にかけて、染色業が集積。着物の染色三大産地である東京でも一番大きな産地だったといい、現在も多くの染色業の企業や工房が点在する。
当日は神田川親水テラスで「水元(みずもと)」と呼ばれる染色時に付いたのりや余分な染料を洗い流す工程の再現が行われた。「水元」は昭和30年代まで実際に神田川や妙正寺川で行われ、日常風景だったという。工程や新宿での染めの歴史などを説明しながら、地元の職人らが実演した。隣接する戸塚地域センターや神高橋から多くの見物客が見守った。
戸塚地域センターでは「絞り染め」や「型染め」「友禅染め」の染色体験や、小紋や友禅などの染め物の展示が行われた。染色体験は、定員300人全て埋まったという。職人らがアドバイスする中、親子連れで染色を楽しむ姿が見られ、絞り染めを行った子どもたちは神田川で染めた布を洗い流す体験をした。
新宿区染色協議会会長の吉澤敏さんは「コロナ禍もあり、昨年は絞り染め体験だけだったが、今回は通常開催できた。かなりのにぎわいで、イベントとしては大成功だったと思う」と話す。
戸塚地区青少年育成委員会会長の太田幸一さんは「非常に多くの子どもたちに来てもらって、うれしい限り。子どもたちにとって街中で川遊びや染色はこういう機会でないと体験できないので、実施できて良かった」と話す。