早稲田大学が4月23日、150周年を迎える2032年以降の姿を見据えた「150周年記念事業構想」の骨子を発表し、研究や教育、社会への貢献のあり方を示した。
同事業は「学生・校友(卒業生)・支援者と共に『世界人類に貢献する大学』に進化させ、日本社会の変革をけん引する事業」との位置付けの下、建学の精神である「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」に沿う3つのグローバルセンターを設置し、推進する。
本年度から設置された「グローバルシティズンシップセンター」(GCC)では、ボランティアセンターや留学センター、キャリアセンターなどのノウハウを集約。地域貢献やボランティア、リーダーシップなどの「人間的力量」を育むことで、世界に貢献する人材の輩出を目指す。被災地支援や難民支援などを通じて、現場のニーズを研究に反映させる。
「グローバルリサーチセンター」(GRC)では総長らのトップダウンで、研究組織の体系化などの研究力強化のための施策を迅速に行う。同時に各学術院(学部・研究科)からのシーズをくみ上げる仕組み構築する。トップダウンの研究の例では、早大がこれまで培ってきた被災地支援での現場経験と、ヒューマノイドロボットなどの科学技術を組み合わせるといった、文理融合の研究テーマを立ち上げていく。
2014(平成26)年から始動している「グローバルエデュケーションセンター」(GEC)は、全学の学生にアカデミックライティングやデータサイエンスなどの文理融合の基盤教育を行っていく。
3つのグローバルセンターを通じ、「総合知による人類への貢献」を推進する。学生の留学促進や海外の研究者との共同研究などのシステムを構築し、「卓越教授」の資格や教員構成の国際化などで、国際的競争力の向上を図る。
同事業の一環で、文部科学省が取り組む10兆円ファンドによる世界最高水準の研究大学実現に向けた「国際卓越研究大学」制度へ再申請することも明らかにした。
早大の田中愛治総長は「2040年、50年のあるべき姿を描くというのが、これから150周年を迎えるまでの8年間の課題」と話す。「教育の質を洗練して上げることが大事で、そのために仕組みを変える。そのことは国際卓越研究大学への申請と表裏一体となると考えている」とも説明した。