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早大・大隈記念講堂の天井耐震改修工事が完了 「見た目・音響面、何も変えず」

ステージから見た天井耐震改修工事が終了した「大隈記念講堂」内部の様子

ステージから見た天井耐震改修工事が終了した「大隈記念講堂」内部の様子

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 早稲田大学が3月下旬から実施していた「大隈記念講堂」(新宿区戸塚町1)の天井耐震改修工事が12月25日、終了した。

天井耐震改修工事が終了した大隈記念講堂内部の様子

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 今回の工事は1962(昭和37)年に行われた1回目となる塗装や内装などの改修工事、2回目となる2007(平成19)年に行われた老朽化対策・耐震補強のための改修工事に続き、3回目。2回目の工事の後に「ロマネスクにゴシックを加えた様式が近代の優れた折衷主義建築」と評され国の重要文化財に指定されたため、今回の工事を進めるに当たり「意匠を極力保存することを目標としていた」という。

 「天井耐震に関する法改正を受け、フェールセーフの考え方に基づいた大講堂ラスモルタル天井の耐震性を高める天井改修、および大小講堂のつり天井改修を行い、さらなる安全性の向上を図る」ことが目的。天井はラスモルタルという施工法で作られており、その形状を生かしながら落下防止装置を施工。ラスモルタルのつり材には亀裂補修やネット張りによる剥落防止措置の施工などの補強を加えることで耐震性を高めた。

 完工時に天井材として使われた「セロテックス」はサトウキビの繊維を混ぜたボードで、現在はアジアの一部で少量生産されている部材。重要文化財としての価値を継承するため、壁面に近い一部の安全性の高い箇所については「セロテックス」をそのまま使用。「音響性能の維持・継承」を行うため、工事前に音響を測定。ヤマハの試験場の協力も仰ぎ、反響音の測定など多種類の塗装材を比較し検討を重ね、特注の岩綿吸音板を天井材として使用することに決定した。

 照明については使用されていた電球を全てLEDに変更したことで、無段階調光が可能となった。昼間は天窓からの自然光も入り込むため、「自然光と人工の光の使い分けができる」という。光天井部もつり材との結合部と十字金物破損部の補修・補強による耐久向上、ガラスと受け金物の補強・落下防止装置取り付けを行った。

 設計・管理は佐藤総合計画、施工は戸田建設、照明は川北電気工業がそれぞれ担当して工事を進めた。当初の工期では年度末までの予定だったが、スケジュールが前倒しになり年内での完成となった。工事開始前に建物内部の状況が把握できず、実際に工事を進めながら構造を確認しつつ進めていくという形であったため、「工期は3カ月ほど長く見ていた」という。

 早稲田大学企画・建設課の坪木義治さんは「今回の天井耐震補強工事は、1927(昭和2)年に完工した大隈記念講堂の実施設計を行った佐藤武夫さんと施工した戸田組を現在に引き継ぐ会社に行っていただいた。国の重要文化財である大隈記念講堂の位置付けを考えると、大変感慨深い。たくさんの方のご協力により、見た目や音響面は何も変わらず、安全性を高めることができた。工事に関わっていただいた方々に感謝申し上げたい」と話す。

 来年1月下旬から学内行事などで利用を開始する予定。

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