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コロナ禍で公演中止の演劇を記録し後世へ 早大演劇博物館が資料提供呼び掛け

早稲田大学演劇博物館外観(提供:早稲田大学演劇博物館)

早稲田大学演劇博物館外観(提供:早稲田大学演劇博物館)

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 早稲田大学演劇博物館(新宿区西早稲田1)が、新型コロナウイルス感染症に対応して中止・延期となった演劇公演を記録に残し後世に伝えるための情報収集を始めた。劇団・劇場・関係団体に公演資料の提供を呼び掛けている。

 同館は、早大で教べんを執った坪内逍遙の古希と「シェイクスピア全集」の翻訳完成を記念して、1928(昭和3)年にキャンパス内に開館。坪内の志を受け継ぎ古今東西の貴重な資料の収集・保管、展示を行ってきた。100万点を超える収蔵品を持つ、アジアで唯一、世界でも有数の演劇専門総合博物館。

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 新型コロナウイルス感染症対策として、2月26日に政府が「新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためのイベントの開催自粛要請」の方針を発表。4月7日には、特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令され、数多くの公演が中止・延期を余儀なくされた。宣言が解除された現在もなお、その余波を受け危機的状況は続いている。今回の企画は、同館が演劇・映像文化に関する研究機関また演劇専門総合博物館として、新型コロナウイルス感染症の影響下にある現在を演劇という視座から記録し後世に伝えることを目的として行う。

 提供を呼び掛ける資料は、新型コロナに対応して中止または延期となった公演のチラシ、ポスター、プログラム、パンフレット、台本、公演中止を知らせるDM等の文面など。演劇には、バレエ、オペラ、ダンスなどの公演も含む。2020年度内に延期されて上演が実現した公演についても、当初予定された公演を対象に資料を収集する。

 収集された資料は、日本演劇史の資料として保管、展示等によって発信、公開を行う予定。展示等によって、より多くの人がアクセスできるようオンライン展示の可能性も視野に入れるという。

 企画を担当する、後藤隆基(りゅうき)助教は「舞台芸術は、実際に上演されなければ、その時、その作品が表現されたことにはならない。作り手や観客、一つの舞台に関わる全ての人々の思いや、そこに掛けられた時間などを、なかったものにせずに、せめて記録や記憶だけでも残せないかと考えた。それが出発点だった」と振り返る。「緊急事態宣言解除後、公演の再開に向けて多くの人が尽力している。今後はそうした公演についても、当館ができることを考えていきたい」と抱負を語る。