高田馬場・早稲田エリアの飲食店が、東京都からの時短要請への対応に苦慮している。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、東京都は酒を提供する飲食店とカラオケ店に対して、11月28日~12月17日の20日間の営業時間を22時までに短縮する要請を11月25日、発表。要請に応じた事業者には最大40万円の協力金を支給する。
11月20日には「Go To Eat食事券」が開始され、高田馬場エリア=140店(うち「アナログ食事券」のみ使える店舗は44店)、早稲田エリア=51店(うち「アナログ食事券」のみ使える店舗は13店、11月27日現在)が準備を進めてきたが、食事券の販売、引換券の発行は12月17日まで停止になり、飲食店からは落胆の声も聞こえる。
高田馬場経済新聞がツイッターで行ったアンケートでは、166の回答が得られ、時短要請に応じる=8.4%、時短要請に応じられない=16.9%、結果を見たいだけ=74.7%となり、時短要請による売り上げ減少を懸念していることや、飲食店がどのような対応を行うかを気にする人が多いことがうかがえた。
高田馬場の居酒屋の店主は「以前と異なり、今回は自分たちだけの短縮。やるのであれば全業種の時間短縮など幅を広げなければ意味がないのではないか。40万円は魅力的だが、飲食店として、楽しんでもらう場を提供できないことに複雑な思い」と話す。
別の居酒屋の店主は「もともと22時ごろにはお客さんがいなくなるため、時間に関しては問題ないが、お客さんの外食欲求が無くなるのではないかと心配している」と話す。
高田馬場のカフェのオーナーは「高齢の人と基礎疾患がある人の自粛で済む話。自分の命は自分で守るという判断は、本人がすべきなのに、なぜ政府や自治体に決められなければならないのか、理解に苦しむ。ただの雰囲気作りに飲食店が良いように使われているだけ。やってる感を演出する政治上のパフォーマンスにすぎない」と苦言を呈す。
高田馬場のダイニングバーのオーナーは「政策として理解はできる。分かりやすいアナウンスを目指しているのだろうが、飲食店に対して細やかな対応とは思えない。給付金を出すだけで、内容にも過去からのアップデートが無く、解除後のフォローも感じられない。さまざまな苦労をして積み上げたお客さんの流れが破壊されどうして良いかわからない」と胸の内を明かす。
高田馬場のラーメン店の店主は「リテラシーが低い。時短は感染症拡大防止という目的に対しては逆効果。限られた営業時間に集中するため、時短要請自体は無意味かと思う。やるべきことはもっと他にあるのではないか」と話す。
高田馬場の焼き肉屋の店主は「Go To Eatで盛り上がっている途中であった分、残念。仕方の無いことだが、やはり客足が遠のくと、不安になる」と話す。
取材先の飲食店では、時短要請には応じる店がほとんどだが、複雑な心境を持つ人が多くなっている。