早大通り、大隈記念講堂の並びにある「文具のサンワ」(新宿区早稲田鶴巻町)が6月30日、閉店する。
店内に張られた「卒論製本」のポスター=早大通りの「文具のサンワ」が6月末に閉店へ
「文具のサンワ」は、小川正俊社長の父・義男さんの代から続く文具店。義男さんがメーカーから紙を仕入れ、自転車で運んで文具店に卸す商売を1950(昭和25)年に始めた。1954(昭和29)年、現在の場所に文具店「三和商店」をオープン。「三和」には、メーカー、販売店、お客さんの「3つの和」があれば商売がうまくいくという思いが込められていた。1967(昭和42)年、早大通りの拡張工事に伴い、店があった長屋を建て替え、現在の店舗になった。
正俊さんは子どもの頃から店を手伝ってきた。大学卒業後、プリント基板を製造する企業に3年ほど勤め、再び家業を手伝うようになった。「店を継ごうとは思っていなかったが、始めたからにはちゃんとやろうと思った」と振り返る。
1990(平成2)年、義男さんの個人事業から「文具のサンワ」として有限会社化し、正俊さんが事業を継承した。「三和を『さんわ』となかなか読んでもらえなくて、カタカナ表記に変えることにした」と正俊さん。「昔は早大生が試験前に、きれいに書かれたノートをコピーしに来ていた。コピーしたら安心するのか、終わったら雀荘でマージャンをしている学生も多かった」と思い出を語る。
文具の小売りの他に、外商や論文の製本事業にも取り組んできた。卒業論文が必須の文学部や教育学部の早大生のニーズは高く、提出日が近づくと注文が集中するため、受け渡し専用のアルバイトも雇用。受取日には大隈記念講堂近くまで行列が延びることもあったという。2002(平成14)年に卒論製本のウェブサイトを公開すると、東京大学、一橋大学、慶応大学などの学生からも卒論製本の注文が入るようになった。
正俊さんは「いつかはやめないといけないと思っていたが、今年79歳になり、後継者がいないこともあり、店を閉じることにした。できるだけお客さんに迷惑をかけないように繁忙期ではないこのタイミングを選んだ。これまでよくやったと自分を褒めてあげたい。これからは少し休んで、ゆっくりできれば」と話す。
営業時間は9時30分~17時。土曜・日曜・祝日定休。