早稲田大学と東京電力ホールディングス(以下、東電HD)が「カーボンニュートラル社会の実現に向けた包括連携に関する基本協定(以下、協定)」を12月13日、締結した。
協定は「カーボンニュートラルの取り組みにより持続可能な社会の実現を目指し、産学連携による研究・教育や人材交流の強化を図ること」が目的。早大と東電HDはエネルギー利用の高度化、共同研究などの研究開発、研究、教育とそれに係る人材交流と育成などについて連携し、協力していく。
早大は昨年11月にカーボンニュートラル宣言を発表。CO2排出削減のための研究開発の推進、学部生のカーボンニュートラル・マインドの育成、大学院生の学習・研究環境の整備を進めている。創立150周年を迎える2032年をめどに各キャンパスにおけるCO2排出実質ゼロを目指しており、12月1日には学部、研究科の枠を超えるネットワークを作る「カーボンニュートラル社会研究教育センター」を新設した。
東電HDは「販売電力由来のCO2排出量を2013(平成25)年度比で2030年度に50%削減」「2050年におけるエネルギー供給由来のCO2排出実質ゼロ」という目標を掲げている。化石燃料依存からの脱却が長期的な安定供給にも寄与するとの認識で、ビジネスモデルの変革に取り組んでおり、「電気を『つくる』『ためる』に加え、柔軟に賢く『つかう』ための新たなサー ビスを生み出す技術開発に注力していく」(東電HD)という。
今後は早大キャンパスでの実証研究や企業、住宅、運輸など地域のカーボンニュートラル推進の取り組みなどを通じ、エネルギーマネジメントシステムの開発を行っていく。
早大の田中愛治総長は「カーボンニュートラル社会の早期実現、それを担う中核人材の育成と輩出のため、協定を結ぶことになった。東京電力が持つエネルギーに関する経験や知見と早大の文理連携による総合知を組み合わせることで、新しい社会価値を共創していきたい」と話す。
東電HDの小早川智明社長は「中長期的な視点でアカデミックな知見、技術を有する早大と共に取り組みができることは貴重な経験で、今後期待するところ。次世代を担う学生が実社会の実業というフィールドで一緒に取り組むということが、今後のカーボンニュートラルの分野で重要と考える」と話す。