高田馬場にあるコワーキングスペース「CASE Shinjuku」が、早大通りにあるカツ丼店「奏す庵(そうすあん)」(新宿区早稲田鶴巻町、TEL 03-6302-1648)のテークアウトランチを食べる会を、4月18日に開催した。
「奏す庵」は2016年に開店したカツ丼専門店。1913(大正2)年に早稲田にあった洋食店が日本で「初めて」カツ丼を発表、ドイツで修業していた店主がシュニッツェル(カツレツ)をウスターソースに付けて丼にしたのが起源とされている。その洋食店は関東大震災をきっかけに福井市に移転。そのため福井県内では、現在でもソースカツ丼がカツ丼と言われている。
同店が提供する「ワセカツ!」はそのオマージュ。「薄いトンカツ」「早く仕上がる」「ソースに浸す」のが特徴。カツ丼が生まれた早稲田で、ソースカツ丼を提供したいとのオーナー・森武彦さんの思いから、現在の場所に店を構えた。
今回のランチ会が開催されるきっかけになったのは、CASE Shinjukuのメンバーで漫画原作者の猪原賽さんが運営するブログ「NewsACT」で「奏す庵」を取り上げたこと。そのブログを見たスタッフが久々に食べたいと思いつき、利用者の中西晋吾さんに相談。同店がテークアウトに対応していることを中西さんが知っていたため、ランチ会を開くことになった。コワーキングスペースらしいコミュニケーションの連鎖が企画実現につながった。
当日はメンバーを中心に約20人が参加。同店オーナーの森さんも参加し、早稲田のカツ丼の起源や「ワセカツ!」のこだわりについて話題を提供した。参加者は、近くで仕事をしていても知る機会の少ない話題に耳を傾け、テークアウトの「ワセカツ!」を全員で食べながら交流を図った。
奏す庵のオーナー・森武彦さんは「一般的にソースカツ丼と呼ばれる丼飯は、カツ丼と呼ばれ全国で親しまれている卵でカツをとじた丼飯よりも歴史が古く、実は全てのカツ丼のルーツともいわれる。ドイツで修業した料理人がカツレツをアレンジして提供したこのメニューは、私が探求し続けている『和文化』というものを一つの形にしたものだと思い当たった。『和文化』、耳慣れた言葉でありながら、その意味やそれが差し示すものがどういうものなのかを知る人は多くない。当店の取り組みの中で『和文化』について気づきを提供したいと考え、発祥の地である早稲田鶴巻町で開業した」と開業の経緯を語る。
「コワーキングスペースで当店の弁当でランチ会が開かれると知り、味だけではない何かを伝えることができたらと参加した。ランチ会に参加した人たちと、カツ丼のルーツや『和文化』について会話する機会を得ることができたことがうれしい」と笑顔で話す。
奏す庵の営業時間は、ランチ=11時~15時、ディナー=17時~22時、火曜・水曜定休。弁当はウーバーイーツでも取り扱う。