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西武新宿線の複々線化計画が廃止へ 都市計画素案説明会で住民などに理解求める

複々線化の計画の廃止で、地下駅新設が見送られる西武新宿線の高田馬場駅

複々線化の計画の廃止で、地下駅新設が見送られる西武新宿線の高田馬場駅

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 東京都と西武鉄道が6月1日、西武鉄道新宿線(西武新宿駅~上石神井駅間)の複々線化計画の廃止に関する「都市計画素案説明会」を高田馬場センタービルで開催した。

西武新宿線複々線化の計画の廃止に関する「都市計画素案説明会」の会場の様子

 同計画は西武新宿駅から上石神井駅までの約12.8キロメートルを複々線化するもので、1993(平成5)年4月に東京都が都市計画決定していた。西武新宿線の在来線の地下に急行線を作り、西武新宿駅と高田馬場駅に新たに地下駅を設置する計画だった。都市計画が決定した当時の西武新宿線の混雑率は193%。

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 その後、1995(平成7)年時点に混雑率が184%と減少。長期的にも減少の見込みで、増加が期待できない状況となり、「輸送人員の見通し」が変わったこと、当初試算の約1,600億円から約2,900億円(1995年時点)となった「事業費の高騰」などを理由に、西武鉄道が複々線化計画を延期することを1995(平成7)年1月に表明していた。

 複々線化計画の当初の目的は、西武新宿線の混在緩和の抜本的解決策として、「輸送力増強による混雑率の改善」「所要時間の短縮」を行い、都市交通の利便性向上および円滑化を図るもの。その後、1999(平成11)年以降、混雑率は160%前後で推移しており、複々線化計画の決定時と比べて、混雑率が減少している。西武鉄道は同計画の延期表明までに、急行と準急の車両数を8両から10両に増やしたり、準急の本数を増やしたり、延期表明以降も特急の増発、通勤急行の運行を行ったり、東京都の実施する「時差ビズ」などに協力したりすることで、「輸送力の強化・速達性の向上が図ってきた」という。

 さらに、2016(平成28)年に公表された国土交通省の交通政策審議会の「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(答申)」で西武新宿線の複々線化が位置付けされなかったこと、2018(平成30)年7月に西武鉄道から東京都に同計画の廃止に関する協議を申し入れたことから、複々線化計画の廃止に関する都市計画素案を作成することになった。

 今後、西武鉄道は、踏切対策の推進として、検知能力の高い障害物検知装置の設置や現在事業中の中井駅~野方駅間、東村山駅付近、都市計画手続き中の井荻駅~西武柳沢駅間の連続立体交差事業の推進で、踏切を除却していくという。また急行と各駅停車の乗り継ぎをよくするためのホーム形状の改良や運行計画の工夫を行うことで、乗り換えなどの利便性向上と電車の遅延対策を行う。運行計画の定期的な見直しにより、混雑緩和や輸送力向上に取り組むことで、快適な輸送環境の実現にも取り組む。

 今後は都市計画案を作成、案の作成後は「公告・縦覧」を行い、東京都庁や区役所で公開する。意見がある場合は、意見書を提出できる。その後、都市計画審議会で議決を行い、都市計画決定をする。

 説明会は、5月29日=新井区民活動センター、30日=八成小学校体育館、31日=上石神井中学校体育館での開催に引き続き、4回目の開催。開会の後、音声付きスライドによる約10分間の説明がなされた。その後、約45分間にわたり質疑応答が行われ、東京都都市整備局都市基盤部交通企画課の長尾肇太課長と、西武鉄道鉄道本部計画管理部鉄道計画課の長田(おさだ)裕太郎課長が回答を行った。参加者は241人。

 長尾課長は「複々線化計画の廃止で、既存の西武新宿線が無くなるということはないので、その点は誤解のないようお願いしたい。本日の質問にも丁寧に回答させていただいたが、地域の人にご迷惑を掛けないよう、今後もしっかりと丁寧に説明していきたい。理解をいただければ」と話す。

 今後の情報は、東京都や西武新宿線の西武新宿駅~上石神井駅間の基礎自治体である新宿区、中野区、杉並区、練馬区の広報誌などで公開される。

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