四季折々に中国茶と中国スイーツを提供するカフェ「甘露」(新宿区西早稲田3)がオープン1年を迎えた。
中国茶と薬膳スイーツのカフェ「甘露」焼き菓子を入れたショーケース
最近では、現地の味を再現したスイーツを提供することがSNSなどで話題となり、同店のスイーツを目指して西早稲田を訪れる人も増えたという。9月21日から提供している秋のメニューは、広東式ミルクプリン「双皮●(シュァンピィナイ、●はおんなへんに乃)」(530円~)、桃の樹液を一晩かけて戻し、さらに8時間ほど炊いて作る「桃膠(タオジャオ)」(530円~)、小豆をかんきつで炊き上げたおしるこ「紅豆沙(ホンドウシャ)」(530円~)。以上はいずれもシロップとトッピングを選んで注文できる。その他、テークアウトができる焼き菓子も全てオリジナルレシピで手作りする。
店主の向井直也さんは「今年の夏あたりから中国の現地スイーツにフォーカスを当てて紹介していくことで、他店では食べられないものを出す店として認知が広がっていった。現地で有名な菓子店「百花甜品店」のようにトッピングとシロップのバリエーションが楽しめるメニュー作りにも工夫をした」と1年を振り返る。また四季に合わせたレシピ作りについて、「『シュァンピィナイ』は、現地(広東省順徳)では乳牛よりも乳脂肪分が高い水牛の乳を使う。日本では手に入りにくく、牛乳を使ってその味を再現することや、分量や蒸し時間など、納得がいくまで何度も試作を繰り返した」と話す。
開店当初から地元に積極的に関わる向井さんは「商店会の会合には毎月参加する。頻発する店の入れ替わりが減って、地域の人が地域の店の魅力に触れて消費が促進されるような流れが作りたい。今年は商店会の祭りで配るスピードくじ(200円の金券)にそのための一工夫を施した。祭りが終わったら検証して次につなげたい。今年からは町会にも参加していて、これから住民コミュニティーとの関わりも深めたいと考えている」と言う。
1周年のパーティーには、仕事仲間、近隣の住人、中国人留学生、店の常連など40人以上が集った。向井さんは「これまでの仕事上の人脈、店を通じて知り合った地域の人や留学生と力を合わせて、国際交流や地域の課題解決など、できることから進めていければ」と、同店を一つの拠点としたコミュニティーの可能性を語る。
営業時間は11時30分~18時。木曜定休。