点字図書と録音図書の製作・貸し出しなどを行う日本点字図書館(新宿区高田馬場1)が11月9日・10日、同館のサービス体験や講演、コンサートなどを行う施設公開「オープンオフィス」を開催する。
日本点字図書館オープンオフィス ミニ点字教室 昨年の様子((提供:日本点字図書館)
同館は1940(昭和15)年、自身も視覚障がい害者だった本間一夫さんが雑司ヶ谷に創立した「日本盲人図書館」を前身とし、1948(昭和23)年に「日本点字図書館」と改め、現在の場所でサービス提供を行っている。
イベントは2013(平成25)年より、視覚障がい者への理解と同館事業の周知を目的に開催。改修工事により昨年は開催がなかったため、今回は2年ぶり6回目の開催となる。仕事内容を基本にした体験型の業務紹介や講演やコンサートなどさまざまな催しを企画する。
体験コーナーでは、「図書を貸し出してみよう」「点字を書いてみよう」「点字図書・録音図書に触れてみよう」など同館の仕事体験と、「便利なグッズに触れてみよう」「盲導犬と一緒に歩いてみよう」など、「見えない・見えにくい」状況と、それをサポートする人やものの機能が体験できるよう工夫する。
同館利用サービス部の勢木一功(せいきかずのり)部長は、「本館は特徴的な外観が人目を引くが『何をやっているところだろう』と疑問を持ったままの人が多い。まずは近隣の人たちに理解してもらう目的で施設公開を始めた。近隣の小学校へのチラシ配布や教科書で点字を取り上げていることから近隣の小学生をはじめ毎回1000人ほどが来場する」と話す。「点字図書館を支えているのは多くのボランティアの人たち。録音図書や点字図書の製作はインターネットの普及により在宅でも関わることが可能となった。その他、発送物の封入作業など、さまざまな力が必要。この施設公開を機に理解が進み、関わってくれる人が増えれば」と期待を込める。
特に録音図書は、けがでページがめくれない、長時間文字を読むことができない、学習障がいや発達障がいなど、視覚障がい以外の理由で読書が困難な人にも利用価値がある。当日は、さまざまな疑問に図書情報課のスタッフが個別に答える「なんでも相談室」も設けて広く利用を促す。
3階の多目的室では講演やコンサートを開く。9日は、視覚障がい者の文化向上に貢献した個人・団体に同館が贈る本間一夫文化賞受賞者、大内進さんの表彰と講演(10時~)、精神科医・立教大学現代心理学部映像身体学科教授の香山リカさんの講演「人にもやさしく、自分にもやさしく暮らす」(13時~)を予定。10日は、一般社団法人日本パラリンピアンズ協会会長の河合純一さんの講演「東京パラリンピックを100倍楽しむ方法」(11時~)、テノール歌手の秋川雅史さんのミニコンサート(10日、14時~)を行う。
開催時間は、10時~16時。入館無料。講演・コンサートは当日10時から整理券(1人2枚まで)を同館正面玄関付近で配る。