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文禄堂早稲田店で「こども六法」トーク&サイン会 SNSリテラシーの話題も

「こども六法」作者の山崎総一郎さんと監修者の山根薫さん(左から)

「こども六法」作者の山崎総一郎さんと監修者の山根薫さん(左から)

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 「法律は自分を守るチカラになる。『こども六法』トーク&サイン会」が早稲田駅前の書店「文禄堂早稲田店」(新宿区馬場下町、TEL 03-3203-7123)のイベントスペース「Table Talk Waseda」で12月20日に行われた。

文禄堂早稲田店で行われた「『こども六法』トーク&サイン会」の様子

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 子どもがいじめや虐待の被害者や加害者になってしまうのを防ぐために、子どもにも分かりやすく法知識を解説した書籍「こども六法」(弘文堂)。「法教育」について研究をしてきた著者の山崎総一郎さんが大学時代に研究奨励金を利用して自費出版した「こども六法(第一版)」が基になっている。山崎さん自身のいじめ被害経験から「法教育がいじめ問題解決にいい影響を与えるのではないか」との考えから作製された。

 自費出版の「こども六法」は400部のみの印刷で、当初想定していた「『学級図書』の中に常にあっていつでも閲覧できる状態」などには遠い状況だった。しかし、広告支援団体「Creative Capital」代表の小川凜一さんが協力し、一般書籍として販売するために2018(平成30)年9月にクラウドファンディングを実施。

 毎日新聞で取り上げられたこともあり、最終的に目標金額の100万円を超える約180万円の支援が集まった。山崎さんと大学が同期でお笑いジャーナリストのたかまつななさんが法律書も数多く手掛ける「弘文堂」から「政治の絵本」を今年7月に出版しており、その縁もあり今年8月に出版されることになった。これまでに35万部を印刷しているという。

 今回のイベントでは、著者の山崎さんと「こども六法」の刑事訴訟法監修者で前東京高等検察庁検事の山根薫さんが登壇。山崎さんと早稲田大学法科大学院で教壇に立った経験もある山根さんが、「こども六法」を製作する際に意見交換を繰り返した「子どもにも分かる法律の抄訳と正確さの維持のバランス」をテーマにトークを行った。参加者は23人。

 トークでは製作過程での苦労話や山根さんが監修することになったきっかけ、「こども六法(第一版)」との違い、「法律を訳す本」という前提から原文のニュアンスを落とさないよう気を付けたこと、気になった部分を六法全書で調べられるよう「検索性」を大切に章立てしたこと、子どもに伝わりやすく伝えるための言葉の言い換えや年齢に見合った法律の掲載を検討したこと、7人の監修者の助けのほか、法教育活動を行う各大学サークルの連盟である「日本学生法教育連合会(USLE)」にも協力を仰いだことなどを、制作過程で行った山崎さんと山根さんの長文メールのやり取りを見せながら話した。

 イベントの最後に質問コーナーを設け、参加者からの質問に順々に答えた。最も多かった質問は「たくさんのニュースが増える中で情報リテラシーを育てるためにできることは何か」など、SNSとの付き合い方に関するもの。

 山崎さんは「たくさんの情報があふれるとともに、SNSの登場により誰もが発信者にもなり得る時代になった。完全に中立な情報はなく、新聞、ニュース、ツイッターなどで流れてくる情報には、発信する人のフィルターがかかっている。1次情報を見ることを心掛け、スポットライトの陰になっている部分があるか、あれば何があるのかを考える視点を持つことが必要」と話した。

 山根さんは、若い検察官を教育していた経験を引き合いに「『被害者の話を聞くと、感情的に揺さぶられることもあるが、それを裏付ける客観的な証拠がなければ起訴はできない』と話をしていた。リテラシーの一つの究極の形だと思う。根拠を問い詰めていくということをしていれば、翻弄(ほんろう)されることも少なくなるのではないか」と話した。

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