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早稲田大・田中愛治総長が「最終講義」 最後のゼミ生含む500人が参加、総長職は継続

田中総長の最終講義が行われた「大隈記念講堂」の講義開始前の様子

田中総長の最終講義が行われた「大隈記念講堂」の講義開始前の様子

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 早稲田大学の田中愛治総長の最終講義「現代日本政治システムの正統性-有権者・無党派層はどう見てきたのか?-」が1月25日に大隈記念講堂(新宿区戸塚町1)で行われ、ゼミ生や卒業生など500人近くが参加した。

最終講義で話す田中愛治総長

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 同大学の最終講義は、文学部を創設した坪内逍遙が1927(昭和2)年に、大隈記念講堂で行った「シェークスピア最終講義」から続く伝統行事。その年度に定年退職をする専任教員が行う。本年度は32の最終講義が行われ、一般の人も聴講できる。昨年実施された大隈記念講堂の天井耐震改修工事後、初の公式行事となった。

 田中総長は1975(昭和50)年、早稲田大学政治経済学部を卒業後、オハイオ州立大学大学院で政治学博士(Ph.D.)を取得。その後、青山学院大学法学部教授、早稲田大学政治経済学術院教授、教務担当教務主任、教務部長、理事などを経て、2018(平成30)年11月に総長に就任。総長職は専任であるため教授職は退任したが、ゼミ生が残っていたため、その後も客員教授として政治経済学部の演習科目を担当していた。本年度で最後のゼミ生が卒業を迎えるため、最終講義を行うこととなった。

 司会進行は政治経済学術院の日野愛郎(あいろう)教授が務めた。同・川岸令和(のりかず)教授は冒頭のあいさつで、同大学の総長選挙制度や田中総長が最終講義を行う経緯について説明。田中総長の経歴、これまでの取り組み、実績などを紹介するとともに、初めてワシントンDCで田中総長と出会った時の思い出などを語った。

 田中総長の最終講義では、オハイオ州立大学大学院で学んだことから始まり、「戦後の日本政治の中で、なぜ自由民主党が長年政権にとどまってきたのか」に対し、従来ある3つの説明とその限界を紹介。政党支持率と無党派層の変遷、政党支持態度の3次元モデル、政党に関する感情温度尺度とその主成分分析、年代別の自由民主党と野党第1党の得票率などを用いて説明を行った。4つ目の仮説として、「現代の日本の有権者は日本の政治経済システムを維持し、運営できる政党を選ぼうとしている」という考えを紹介した。

 「政治システムの正当性」=「システム・サポート」の概念を説明。システム・サポート変数の因子分析、因子分析に基づく因子得点尺度を使い戦前世代、過渡期世代、戦後世代ごとに分析した。戦後世代に関しては、「政治システムの業績評価」と「政治文化」の2つが「制度に関するシステム・サポート」の源泉と結論づけ、民主党が政権を取った時期の指標などを比較して紹介した。

 講義後、イェール大学教授で早稲田大学の学外理事でもあるフランシス・ローゼンブルース教授、同志社大学法学部の西澤由隆教授、政治経済学部の同僚である河野勝教授、田中総長のゼミ生だった社会科学部の遠藤晶久准教授の4人がコメント。田中総長との思い出や研究内容についてそれぞれが語った。

 田中愛治ゼミの吉水隆太郎さんと村山冴(さえ)さん、同大空手部の細田悠乃(はるの)さん、稲門政経会の副会長で三井不動産代表取締役の北原義一(よしかず)さんが壇上に上がり、田中総長に記念の花束を贈呈した。

 最後に田中総長は「昨晩11時半から午前0時くらいに、あることを追及していて、最後のほうで今まで気付かなかったことに一つ気が付いた。一つのことをずっと考え続けると良いアイデアが湧くということが分かった。ゼミ生、卒業生諸君も何か追及したいことがあれば、ぜひ集中的に考えてみてほしい。本日は本当にありがとうございました」と締めた。

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