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戸塚地域センターで「災害復興を考える」シンポジウム 「顔の見える関係づくり」も

戸塚地域センターで行われた「戸塚地区の災害復興を考える~情報・医療・福祉の視点から~」の様子

戸塚地域センターで行われた「戸塚地区の災害復興を考える~情報・医療・福祉の視点から~」の様子

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 「戸塚地区 災害復興支援ネットワークを考える会(以下、「NWを考える会」)」が、シンポジウム「戸塚地区の災害復興を考える~情報・医療・福祉の視点から~」を戸塚地域センター(新宿区高田馬場2)で2月1日に開催し、80人超が参加した。

早稲田大学の公認サークル「早大防災教育支援会WASEND」の藤原吏沙(りさ)さんと代表の森重樹さん(左から)

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 「NWを考える会」は、戸塚地区町会連合会、戸塚地区協議会、早稲田大学、新宿区が連携し、平成22年度から24年度まで行った「協働復興模擬訓練」を契機に平成27年2月に発足。戸塚地区の地域特性を勘案し、災害復興時に戸塚地区の住民団体の役割や連携について話し合ってきた。「顔の見える関係づくり」を目指しており、これまでに約40の団体・組織が参加している。

 発足以来、首都直下型地震を想定したワークショップや東日本大震災などの過去の大震災の教訓を踏まえて話し合いの場を設けてきたほか、戸塚地区の小中学校で「出前授業」や、防災や震災体験について講演を行ってきた。

 シンポジウム冒頭では、戸塚地区協議会の本多誠会長があいさつをした。本多会長と司会を務めた早稲田大学都市・地域研究所の阿部俊彦さんから、「NWを考える会」の取り組みを紹介した後、防災出前授業を行っている早稲田大学の公認サークル「早大防災教育支援会WASEND」の代表・森重樹さんが団体や取り組みを紹介した。

 話題提供のセクションでは、「災害拠点病院としてのJCHO東京山手メディカルセンターの役割」と題し、同院の戸塚地区・災害拠点病院院長補佐の笠井昭吾さんが病院の概要を、病院災害対策副委員長の大河内康実さんが災害拠点病院としての取り組みをそれぞれ紹介。「災害時は需要と資源がアンバランスになる。軽傷者が殺到したことで、重傷者の治療が十分できなかった災害事例などもある。重傷者を助けるために、軽傷者の診察の順番が後ろになったり、診察できなかったりすることもあるのでご協力いただきたい」と呼び掛けた。

 新宿区障害者団体連絡協議会の今井康之事務局次長は「障害者団体の防災活動への取り組みと障害理解」と題し、話題を提供。新宿区内の「障害者手帳」の所持者数、災害時に障がいのある人が置かれる環境、一次避難所(51カ所)や障がいのある人のための福祉避難所(6カ所)の整備状況や障がい者施設での避難所立ち上げ体験の取り組みを紹介。災害時要援護者になる人たちがいることを知ってもらい、人と人のつながりで「心のバリアフリー」が溢れる社会の必要性を訴えた。

 新宿区役所からは、地域福祉課の中川誠一課長が「災害時における福祉避難所」、新宿区社会福祉協議会の吉村晴美事務局長が「新宿区災害ボランティアセンターについて」と題し、新宿区役所の取り組みを紹介。まず一次避難所に避難してほしいとし、福祉避難所の開設には時間がかかり、福祉避難所(82カ所)の収容人数は834人と解説。避難所で適切な支援を受けられるための「要配慮者災害用セルフプラン」を紹介し、公助だけでなく、自助、共助が災害による被害を減らす大きな力になるとも話した。区の災害ボランティアセンターの概要、コーディネートの仕方、受付・マッチングの流れを紹介した。

 参加者からの質疑応答の後に、早稲田大学社会科学部の早田宰教授、早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンターWAVOCの大久保裕子事務長があいさつし、新宿区危機管理課の野島雅史地域防災担当副参事、新宿区戸塚特別出張所の佐藤陽一所長、早稲田大学の佐藤滋研究院教授がシンポジウムを振り返りコメントした。

 佐藤教授は冊子「事前復興まちづくりのすすめ」を紹介し、「阪神淡路大震災で、それまでにまちづくりに取り組んでいた神戸市が復興していく様子から、専門家から『事前に復興の準備に取り組んでいた』と認識されるようになった。東京はまだまだ不足している。家具の転倒防止など、今やらなくてはいけないことを身近なところから、少しずつやっていくことが大切」と訴えた。

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