早稲田大学発のロボットベンチャー「東京ロボティクス」(新宿区西早稲田1)に「ヤマハ発動機」(静岡県磐田市)が出資するとともに、両社で技術提携契約を締結したと1月21日に発表された。
東京ロボティクスが手掛けていた研究プラットフォームの人型ロボット「Torobo(トロボ)」
東京ロボティクスは2015(平成27)年創業。早稲田大学インキュベーションセンター(西早稲田1)を拠点に事業を展開している。ロボットの活躍する場が人間の生活空間に近づいてきている中、効率的社会の実現を目指し、「単純労働や危険作業をロボットに任せることで、人間が頭と心を使う仕事に専念できる世界」を目指している。役員2人、社員6人、非常勤1人、アルバイト約15人の体制。
これまで、人と同じ空間で作業する協働ロボットを研究開発向けに開発・販売してきた。ロボットの関節の柔軟な動きや安全性を実現する「力制御」の技術を強みに持っている。機械学習によるロボットの動作学習やロボットの遠隔操作などを提案してきた。「当社のように垂直多関節の協働ロボットに力制御を組み込んでいるのは世界でも数社しかない」(東京ロボティクス)という。
ヤマハ発動機は、水平多関節ロボット(スカラロボット)を中心に小型の産業用ロボットを展開してきた。「高品質・低コスト・タイムリーな供給を実現する量産化能力を有している」(ヤマハ発動機)といい、両社の強みを掛け合わせ、協働ロボット市場への参入を目指す。東京ロボティクスの発行する転換社債型新株予約権付社債(CB)をヤマハ発動機が引き受け、2億円を出資する。
東京ロボティクスの坂本義弘社長は「本格的なものづくりスタートアップを立ち上げ、世界に量産販売するまでには、累計50~100億円を超えるような資金が必要。潤沢な資金とベンチャー投資の文化があるシリコンバレーや政府主導で選択と集中が可能な中国ならともかく、日本ではいまいち現実味がないように思う」と話す。
「一方で日本には世界に通用する優良な大企業が多数ある。そのリソースを最大限活用すれば、社会に対するインパクトという点でシリコンバレーや中国と同様の効果を得ることができると考えている。そういった意味で、今回の提携は日本発の次世代協働ロボットを世界展開できるチャンス。ロボット大国日本の牙城を守っていきたい」と意気込む。