早稲田大学(新宿区戸塚町1)が2020年3月および9月卒業生・修了生を対象とした学部卒業式、芸術学校卒業式、大学院学位授与式を9月20日に大隈記念講堂で行い、その様子を撮影した動画を公開した。
早稲田大学が公開した卒業式・学位授与式の動画のスチール画像 その1
卒業式・学位授与式が中止になった2020年3月と9月の卒業生・修了生本人が参加できるオフラインでの開催を予定していたが、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、式典の出席者を2020年9月卒業・修了の各学部・研究科および芸術学校の代表、副代表のみに変更し、ライブ動画配信を行った。
式典では学位記授与の後、田中愛治総長の式辞、卒業生組織である早稲田大学校友会の萬代晃代表幹事のあいさつ、校歌演奏を行った。田中総長は新型コロナウイルス感染症のように答えのない課題に向き合うための学問の力に触れ「未知の問題に挑戦するたくましい知性を培い、自分とは異なる立場の人々の気持ちをおもんばかることができるような、しなやかな感性を育んでほしい」と話した。
式典の模様は2分32秒の動画「Waseda University Graduation, 2020 September」として、当日ユーチューブで公開。BGMには、現役早大生らのグループ「SHARP♯」が、早大OBで作曲家の杉山勝彦さんなどの協力を得て、コロナ禍で発表した曲「そして紺碧(こんぺき)の空へ」が採用された。
「先の見えない不安の日々にあっても、前を向いて歩きだし、夢を描こうとエールを送る、この曲の想いに共感し、卒業生の皆さんに贈る今回の動画の趣旨に則していると考え、今回のBGMとして選んだ」(早大広報課)という。「離れても、変わらない」とのタイトルで、録画した配信ライブ動画とあわせて、公式ホームページで公開している。
学生たちが社会へ飛び立つ第一歩の場となる卒業式・学位授与式。新型コロナウイルスのために、春に引き続き、秋も卒業生・修了生は家族や友人、先輩、後輩らと一緒に祝う場がなくなってしまった。「そうした逆境にあってもたくましく、くじけずに新しい世界へと羽ばたき、誰もこれまでに経験したことのない課題や困難に取り組もうとする全ての卒業生・修了生を祝したい。そして残念ながら出席がかなわなかった方たちにもその様子を届けたいとの思いを込め、ライブ中継とは別に、今回の動画を企画した」(早大広報課)という。
動画制作に際しては、全員が参加できなかったこと、感染症対策でマスク着用やソーシャルディスタンスを確保するために寂しい印象になることも予想された。「事実として、記録として、2020年9月の式典を正確に伝える重要性を損ねず、一方で新しい門出を祝すポジティブな空気感を新しい道を歩み始めた学生たちの姿や表情に投影して、彼らを通じて描ければと考え制作した」という。
早稲田大学広報課は「動画のBGMはインストバージョンだが、元の曲では『思い返せば行きたかった場所はただの大学じゃなかった』『離れても変わらないんだ』と歌われている。どんな困難な時でも、どんなに離れていても、将来にわたって早稲田大学は、卒業生や関わる方たちを含めて、学生の活躍を願い、また学生がそれぞれの希望をかなえることを応援し続けていきたいと考えている。この曲で歌われるように、いつまでも、『ただの大学じゃなかった』と学生たちに、卒業生たちに思い起こしていただけるように、これからも寄り添える大学でありたい」とコメントしている。