早稲田大学が早稲田スポーツ125周年を迎える2022年に向けた取り組み「早稲田スポーツBEYOND125プロジェクト」を3月29日、記者会見で発表した。
早稲田大学の前身である東京専門学校に、体育部(現・競技スポーツセンター)が設置された1897年から125年目となる2022年を「早稲田スポーツ第二世紀始まりの年」として、新たに展開。早大の体育各部は44部あり、現在約2600人の学生が所属。同プロジェクトのキックオフとして「体育各部共通ロゴ」と「プロジェクト動画」を発表し、今後に向けた展開を示した。
歴代総長で唯一の体育各部出身(空手部)である田中愛治総長は「早稲田スポーツが学生スポーツ界をリードしてきたという自負があるが、昨今体育各部と一般の学生や父母、校友との連携が弱まっており、もっと一体感を持って、学生が生き生きしながら勉強やスポーツを楽しむという雰囲気が重要」と話し、「新しいロゴが『早稲田スポーツの模範』として、盛り上がり一体感を持つためのきっかけにしたい」と意気込みを語った。
早大競技スポーツセンターの石井昌幸所長は、早稲田スポーツの課題として「各部が主体的に動いており、全体としての戦略が足りていないこと」「早稲田のブランド力を生かし切れていないこと」を挙げた。その解決策として「早稲田スポーツに関わる全ての人々の『喜び(バリュー)』を最大化していく」と目標を語った。
新しいロゴはイラストコミュニケーションサイトの「pixiv(ピクシブ)」で一般公募した。体育各部の部員たちの中から実行委員を構成し、応募された約460作品のロゴ案から11作品を選出。米式蹴球部がこれまで使用していたロゴを加えた12作品を候補とした。さらに学生や教職員、一般から人気投票を行い、「体育各部共通ロゴ選定委員会」で人気投票で最も得票したロゴを選定。理事会の承認を得て、最終決定した。
記者会見では早大野球部の小宮山悟監督、ア式蹴球部の加藤拓己選手、新ロゴ作成者の藤田聖人さんも登壇。小宮山監督は「このロゴを大きく育てられるように、野球部として頑張っていきたい」と意気込んだ。加藤選手は、「44部が力を合わせて、早稲田が大学スポーツを引っ張っていく共通のロゴになっていけばいい」と話した。
藤田さんは会社員のデザイナー。「個人の活動の幅を広げたい」と応募した。新ロゴのデザインは、早大創設者である大隈重信にちなみ「熊」のモチーフと、シンボルマークにも使われている「角帽」のひし形のシルエットを合わせたもの。「スポーツの中で頂点を取ってほしいという思いを込めて山脈のような印象も含ませてデザインした」という。
ロゴに加えて2つのプロジェクト動画も発表。動画はキャッチを選手らが考案したという「エンジの誇りよ、加速しろ。編」と大隈重信の演説集から選手たちが選んだ「この世界は諸君 青年達の世界である」というメッセージを添えた「甦る大隈重信編」。どちらも早大の現役選手たちが出演している。「甦る大隈重信編」ではコロナ禍で現役早大生有志が発表し、ユーチューブで13万回再生と話題になった「そして紺碧(こんぺき)の空へ」の楽曲の一部分を使用する。
今後の施策として、競技力の基盤強化に向けて「高大連携による選手リクルートの強化」「スポーツ施設の整備」「女性アスリートのサポート強化」を挙げたほか、合同早慶戦、125周年新応援歌なども計画する。一体感を醸成するため、クラウドファンディング、スポーツギフティングなどにも取り組むことを明らかにした。
アシックスとの包括協定を4年間更新し、高機能製品を体育各部に提供する。新たにスポーツライセンスグッズ販売を行うFanaticsとの協業も発表。グッズ販売によるファンエンゲージメントを強化する。北米以外の大学では初の協業という。大学スポーツの分野でも「世界でかがやくWASEDAへ」の実現を目指す。