早稲田大学演劇博物館(新宿区西早稲田1)が6月1日、演出家、蜷川幸雄の作品の音楽を担当した作曲家、阿部海太郎さんを講師に迎え、2021年度シェイクスピア祭演劇講座「シェイクスピアの音楽をかくこと-蜷川幸雄の現場から」をオンラインで開催する。
企画当初は、同大の小野記念講堂で100人を定員に開催を予定していたが、新型コロナ感染症拡大の状況下で、オンライン配信に切り替え400人の参加者を募っている。
阿部さんは、舞台、ドラマ、映画で多くの音楽を手掛ける作曲家。2008(平成20)年以降、「リア王」「ヘンリー6世」「シンベリン」「尺には尺を」などのシェイクスピア作品を中心に、蜷川作品の音楽を担当した。今回の講座では、作曲家としてどのようにシェイクスピアを読み、どのように蜷川の要求に応えたかをテーマに、ピアノの実演と共に紹介。演出家との共同作業を通して舞台音楽が立ち上がるプロセスを作曲家の視点から考察する。
阿部さんは「2008年に『リア王』の劇音楽を手がけたのをはじまりに、蜷川幸雄さん演出のシェイクスピア作品の現場で経験したことが作曲家としての糧になっていることは間違いありません。蜷川さんのもとでシェイクスピアの音楽をつくることがどのようであったか、当時の資料やピアノでの実演など交えてお伝えしたいと思っています」(原文ママ)と自身のウェブサイトで言及している。
同館の「シェイクスピア祭演劇講座」の歴史は古く、1930(昭和5)年、早稲田大出身で、坪内逍遙が立ち上げた文芸協会演劇研究所に所属した俳優、上山草人(そうじん)を講師に迎え、「沙翁劇上演の思い出話」「沙翁の生涯(映画)・『ヴェニスの商人』法廷の場」「その他の演出やレシテーション」という3部構成で、大隈記念講堂大講堂で開いたという記録が残る。以来、今回までに80回を超える講座を開いている。
同館開館90周年を記念した2018(平成30)年の講座は、松岡和子(翻訳家・演劇評論家)さんを講師に、「シェイクスピア劇の翻訳 ページからステージへ」のタイトルで行い、学生・演劇人・研究者などが集まり満席となったという。松岡さんは、坪内逍遙、小田島雄志に続きシェイクスピア戯曲全作品の翻訳を達成している。
開催時間は18時30分~20時30分。参加無料。定員は400人(要事前予約・定員を超える場合は抽選)。受付は5月14日まで。