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早大サークル「無国籍ネットワークユース」が絵本出版へ 「アイデンティティー大切に」

絵本「にじいろのペンダント」(仮)の制作メンバーの皆さん

絵本「にじいろのペンダント」(仮)の制作メンバーの皆さん

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 早大のボランティアサークル「無国籍ネットワークユース(Stateless Network Youth)」(以下、SNY)が制作している絵本「にじいろのペンダント」(仮)の最終稿を2月3日に完成させ、出版に向けた準備を進めている。

絵本「にじいろのペンダント」(仮)の紹介画像 その1

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 SNYは、早大国際教養学部の陳天璽(ちんてんじ)教授のゼミを基に、2015(平成27)年に設立した「早大平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)」の支援サークルの一つ。「学ぶ・伝える・寄り添う」を理念に、無国籍者が暮らしやすい社会の実現を目指している。

 これまでにセミナーや写真展の開催、SNSを通じた広報活動を通し、無国籍についての啓発活動を行ってきた。2020年春に開催したオンラインセミナーでは、陳教授を招き、実体験などを聞くセミナーを行ったことで、SNYのメンバーは無国籍の人が抱える問題について改めて考えるきっかけになったという。

 絵本プロジェクトの立ち上げメンバー・原尻伊織さんは「無国籍の人は、単に国籍が欲しいと思っているだけではなく、無国籍に起因するアイデンティティーのよりどころについての葛藤を抱えていることが分かった」と振り返る。

 昨年5月には、WAVOC主催の「ボランティアプレゼンコンテスト2021」に参加し、プレゼンの冒頭で、紙芝居を用いて無国籍の置かれた状況を説明。審査員や観客から「紙芝居での説明に引き込まれた」との反響があり、SNYは第1位と観客賞を受賞した。より多くの人に伝えるには絵本が有効的と判断し、制作に本格的に取り掛かった。

 SNYのメンバーも構成や文章を考えた「にじいろのペンダント」(仮)は、無国籍の経験がある陳教授の半生を描いた物語。実体験を盛り込み「無国籍の人はかわいそう」という切り口ではなく、アイデンティティーを大切にしようという内容にした。

 原尻さんは「無国籍者が大変な暮らしをしているのは事実。変えていかなければならないが、学生だけで制度といったハードの面の解決を目指すのは難しいからこそ、ソフト面でのアプローチが必要だと考えた」と話す。その上で、「無国籍と自分だけのアイデンティティーの大切さを多くの人に知ってもらいたい。活動を通し、ソフト面での支援の力が強くなり、ハード面を変えていける第一歩になれば」と意気込む。

 現在、クラウドファンディングで絵本の制作費や学校や施設での読み聞かせの活動資金を募っている。3月31日まで。絵本は7月の出版を予定している。

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