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形見分けの「漱石の長襦袢」 漱石山房記念館で展示

「漱石の長襦袢」

「漱石の長襦袢」

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 明治の文豪、夏目漱石の住居後地に新宿区が設置した漱石山房記念館(新宿区早稲田南町7、TEL 03-3205-0209)で現在、孫の半藤末利子さんが寄贈した形見の「漱石の長襦袢(ながじゅばん)」が展示されている。

「漱石山房記念館」学芸員の杉浦倫子さん

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 「漱石の長襦袢」は、同館開館に当たり、開館以来名誉館長を務める半藤さんから2017(平成29)年に寄贈された品。漱石の死後、鏡子夫人から、娘婿であり漱石門下であった松岡譲に形見分けされた品のうちの一品。松岡が漱石よりも大柄だったため、袖を通すことなく松岡家で保管され、娘の末利子さんが受け継いだ。

 「漱石の長襦袢」と題した半藤さんのエッセー本は、唐人、獅子、草花などの南蛮模様が染め付けられたこの長じゅばんの鮮やかな色柄を装丁に採用している。

 長じゅばんは着物の下、肌着の上に着用するもので、漱石の身長5尺2寸4分(158.8センチ)よりも少し短い着丈で仕上がっている。漱石の着衣への関心の高さについては、いろいろなエピソードが残っている。同展を担当した学芸員の杉浦倫子さんによると、この長じゅばんからも、漱石が着用した際に着物の袖口から鮮やかな色柄が見え隠れするおしゃれを楽しんでいたことが想像できるという。

 杉浦さんは「半藤名誉館長のエッセーのタイトルにもなっていることで『漱石の長襦袢』が見たいと問い合わせを頂くこともあるが、劣化を防ぐため頻繁な公開展示は難しい。今回も短期間の公開となるが、漱石の人柄がうかがえる貴重な逸品を、この機会に見てもらえれば」と呼びかける。

 7月3日まで開催の所蔵資料展「漱石のミチクサ -『道草』草稿を中心に-」のフロア内に展示する。開館時間は10時~18時(入館は17時30分まで)。月曜休館。観覧料は、一般=300円、小・中学生=100円。「漱石の長襦袢」の展示は6月12日まで。

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