早稲田大学演劇博物館(新宿区西早稲田1)が現在、小説家・村上春樹さんと映画をテーマに資料展示する秋季企画展「村上春樹 映画の旅」を開いている。
「村上春樹 映画の旅」エントランス(提供:早稲田大学演劇博物館)
村上さんは早大卒業後、小説家・翻訳家として活躍し、世界中に読者を持つ。早大は、演劇博物館に隣接する早稲田キャンパス4号館を改修し、村上さんから寄贈・寄託された書籍や直筆原稿、レコードコレクションを集めた国際文学館(村上春樹ライブラリー)を2021年10月1日に開館した。
村上さんは在学中、映画の脚本家を志し、よく演劇博物館を訪れ映画のシナリオを読んでいたという。小説やエッセーなどの作品中でも繰り返し映画に言及してきている。同展は、後の世界的な小説家が何を学び、自身の創作活動にどのように反映させたのか、村上さんと映画の関係を「旅」に見立てて軌跡をたどる。
展示は全5章で構成する。
第1章「映画館の記憶」では、生まれ育った阪神間から上京後から小説家になる以前の映画との関係を振り返るほか、村上さんが読んだ同館所蔵の映画シナリオを展示。
第2章「映画との旅」では、エッセー、紀行文、対談本など小説以外の著作で言及された映画を、第3章「小説のなかの映画」では、小説に登場する映画を取り上げる。第4章「アメリカ文学と映画」では、村上さんが翻訳を手がけた小説とその映画化作品を中心に展示する。
第5章「映像化される村上ワールド」では、映画化され、カンヌ国際映画祭脚本賞、アカデミー賞国際長編賞を受賞した短編小説「ドライブ・マイ・カー」をメインに、製作委員会等の協力を得て、劇中で主人公が車中で聞いたカセットテープ、使用された衣装、台本、スチールなどの展示をするほか、映画化された小説に関連した展示を行う。
同展を担当した川崎(崎はたつさき)佳哉助教は「村上さんが発表した文章の中で言及された映画に関する資料を、当館収蔵品を中心に、村上さんと映画との関係を旅に見立て展示した。ジャンル・年代・制作国などが多様で幅広い映画資料の展示となった。多くの人に何度でも来館して楽しんもらいたい」と呼びかける。
開館時間は10時~17時(火曜・金曜は19時まで)。入館無料。2023年1月22日まで。