早稲田大学とJX金属が「カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミー、とりわけサステナブルカッパー・ビジョンに資する寄付チェア制度設置の契約」(以下、寄付チェア契約)を1月24日、締結した。
寄付チェア契約は、産学連携に基づくカーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー社会実現に向けた研究教育機能の強化と社会実装が目的。高度専門人材の育成、銅製錬技術の基礎研究推進、銅の生産、供給の研究開発強化に取り組む。
JX金属の寄付金2.5億円に早大が2.5億円を追加し、基金を設置。その運用益により、専任教員を新たに雇用。定年までの雇用を想定しており、「寄付チェア制度で定年までの雇用を可能とするのは国内初の取り組み」(早大)という。
2021年11月にカーボンニュートラル宣言を発表し、昨年12月に学部、研究科の枠を超えるネットワークをつくる「カーボンニュートラル社会研究教育センター」を新設した早大と、非鉄金属のグローバル企業で技術立脚型企業を目指すJX金属が若手研究者の育成に共に取り組む。
連携研究室の設置、研究員としてJX金属の社員を派遣するほか、共同研究として、銅のリサイクル比率向上のための原料物理選別、製錬技術の開発、使用済み車載用リチウムイオン電池のリサイクルに必要な要素技術などに取り組む予定。連携を進める上で新たな研究分野が出てくることも想定する。
早大の田中愛治総長は「若手の研究者を雇用しようとする寄付チェア制度は世界初かもしれず、われわれの夢がかなう形となった。JX金属に早大の知見、教育、研究力を認めていただき、今回の発表になった」と話す。
JX金属の村山誠一社長は「非鉄金属の中でも銅はボリュームゾーン。SDGsに必要不可欠なキーマテリアルといえる。銅需要が拡大していくと考えており、需要拡大を支える安定供給体制、ESG(環境、社会、ガバナンス)を重視した生産供給体制を整えたい」と話す。